特許製法により、さまざまな食材をシート状に加工する研究開発を進めている橋口加工食品研究所(長崎・琴海、橋口亮社長)は、梅干しと出汁をそれぞれシート状にする開発に成功し、OEMでの受注を始めた。
同社は、元長崎女子短期大学教授で農学博士の橋口亮氏が、野菜をシート状に加工する独自技術の研究を進め、その技術を完成させたことで2020年に設立された。その後、工場を建設し特許を取得したことで、OEMで生産する体制を確立。他の食材のシート加工についても研究を進める中、梅干しと出汁のシート化に成功した。
同社のシート加工食品は厚さ0.2mmで柔軟性をもつ紙のような形状となっている。また、原材料としては元となる食材と寒天のみを使用し、添加物は一切加えないことを特徴とする。そして今回、シート加工商品に新たに梅干しと出汁を追加した
「梅干しシート」は、40g(約4個分)で14×20㎝、重さ7gのシートにできる。薄くても梅干しの濃い風味を味わえ、シソ梅干しだと濃い赤になり、南高梅だと桃色のような色合いになるなど、素材によって色も変化する。また、味覚センサーの結果では、通常の梅干しとほぼ同等の風味を味わえるとの結果を得ている。
「出汁シート」は今回、かつおだしを使用。お湯に溶かせば濃いだしに戻り、自在にカットしてだしの風味を加えたい料理や加工食品などに使用できる。シートに使われるだしの濃度は8~10%で、味覚センサーの結果では、かつおだしに比べて苦味・雑味が抑えられ、旨味とコクを強く感じられる製品となっている。色は出汁の色がそのまま反映され、かつお昆布だし、あごだし、いりこだしなどさまざまな出汁をシートにできるという。
橋口氏は「料理に彩りを加えるとともに、アイデア次第でこれまでにない使い方もできる。また、紙のように軽く持ち運びでき保存性もあるので、登山などの時に塩分補給できる携帯食としての使い方もある」と説明した。
1袋3枚入りで10袋以上からOEMの注文を受け付ける。価格は食材や注文量などによって変わるものの、目安としては梅干しの場合1枚550円程度だという(出汁シートの価格は未定)。また、梅干しまたは出汁の食材を提供する場合は、加工費のみで受け付ける。注文から完成までは約20日間かかる。同社では、果物などほかの食材のシート化の研究も進めている。