飲食店の出店開業・運営やM&Aなどを支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営するシンクロ・フードが、同サービスの会員情報から2022年に出店希望が多かった業態ランキングと出店予算の分布の動向を調査したところ、1位の「居酒屋・ダイニングバー」がポイントを落とし「カフェ」が上げたことで差が大幅に縮小するなど、コロナ禍の影響がはっきり表れた。同調査は、2022年1月1日から12月31日の期間、「飲食店ドットコム」に新規登録した会員(飲食店)のうち業態・出店予算情報を保有するデータを対象にまとめたもの。
前回の2015年調査と比較すると、業態ランキングの4位までは順位が変わらず、「カフェ」、「バー」、「ラーメン」と続いた。ただし、1位の「居酒屋・ダイニングバー」は前回比で4.5ポイント低下し、一方2位の「カフェ」は2.6ポイント上昇していることから、両者の差は前回の12%から5%と大きく縮まった。一方、前回11位の「テイクアウト」と同じく16位の「お弁当・惣菜・デリ」が順位を上げ、7位と10位にランクインした。
同社は、「(「居酒屋」のポイント低下は)コロナ禍で居酒屋の経営難が頻繁に報道されたことや団体客の減少、遅い時間帯の利用客が減少していることなどが影響している可能性が考えられる。(「テイクアウト」と「お弁当・惣菜・デリ」は)コロナ禍で需要が伸びた業態であり、参入障壁が比較的低い業態でもあるため人気が高まったと推測される」と分析している。
続いて、出店予算調査の結果を見ると、48.4%が500万円以下での出店を希望しており、2015年調査比では6.6%も高かった。また、「1000万円以下」から「2000万円以下」までの全ての割合が下がっていることから、全般的に出店予算が減少していることが明らかとなった。
同社は「この結果は、出店したい業態ランキングで上位にランクインした『テイクアウト』『お弁当・惣菜・デリ』が比較的低コストで出店できるため、出店予算を下げている原因の1つになったとも考えられる。出店予算は減少傾向とはいえ、1000万円を超える予算での出店検討者が2割いることも事実。コロナ渦を経て、初期費用をできるだけ抑えたい低額出店希望者と、予算をしっかりとかける高額出店者との二極化がさらに進んでいる」と説明した。