飲食店で働く人の中には、接客業務が好きで飲食の道へ進んだケースも多い。とはいえ、店員に対してあまりに横柄な態度を取ったり、筋違いの難癖を付けるようなカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」は困りものだ。
■丁寧なお客さんには1.9ポンドで提供、横柄な人には約2.6倍に
先日、イギリスのカフェ「Chaii Stop」が始めた、カスハラへの対応策が話題を呼んでいる。
店頭に置かれた黒板には、〈チャイティー〉の価格が3つ表示されている。商品名の「デシ・チャイ(Desi Chai)」とだけ言って注文した人は5ポンド(約834円)。「デシ・チャイをお願い(Desi Chai,Please)」と注文した人は3ポンド(約500円)、「こんにちは。デシ・チャイをお願いします(Hello,Desi Chai,Please)」と、挨拶をして丁寧に注文した人には1.9ポンド(約317円)とある。
同店の公式インスタグラムには「これは素晴らしい」「これ大好き」「マナーに費用はかからない! 最高!」という賛同のコメントが多く寄せられており、ほとんどの人がこのボードを支持している。
英・Mirror紙によると、オーナーのウスマン・フセインさんは今年3月に「Chaii Stop」をオープン。ボードを設置してからというもの、5ポンドを支払った客はいないそうだ。
「無礼なお客さんに苦労したことはない」としながらも、 「もしお客さんがぶっきらぼうに頼んだとしても、私がボードを指差すと、すぐに丁寧に注文し直してくれる。このボードを用意してからはお客さんがよりオープンになり、一緒に笑うようにもなった」のだとか。
■日本でもカスハラ客対策が進みつつある
日本でも同様の取り組みをする居酒屋もある。18年には、「大衆和牛酒場コンロ家 飯田橋店」(大阪・中津、畑中泰社長)の貼り紙が「炎上」した。
「おい、生ビール」と注文した人には1000円(税別・以下同)、「生一つ持ってきて」だと500円、「すいません。生一つください」だと定価の380円になる。
その下には、「お客様は神様ではありません。また、当店のスタッフはお客様の奴隷ではありません。当店にとって一人一人が大切な奴隷 宝物なのです。皆様のご理解とご協力をお願いします。 コンロ家より愛をこめて」と続く。
この貼り紙がツイッターで紹介されるやマスコミをも巻き込む大きな話題に。賛否両論と報じるメディアが多かったが、この騒動をリアルタイムに見ていた記者には、「コンロ家」に賛同するユーザーの方が多いように感じられた。