新型コロナウイルスが騒がれはじめた当初は、「飲食店で店員がマスクをしたら、お客さんに失礼にあたるのではないか」と、マスクを着けるのを躊躇したお店も多かっただろう。
新しい生活様式がすっかり定着した今となっては、むしろお客さんの方が「マスクをしていない店員がいる飲食店は、不安で入れない」と考えるまでに変わった。
しかし、色々な飲食店に足を運ぶと、一応マスクはしているものの、正しく着けていない店員も少なからず存在する。
そんなお店のGoogleマイビジネスの口コミを見ると、「店員が鼻出しマスクで接客していた。ありえない」とか「マスクをしていても、あごにかけていたら意味がない」といった低評価が散見される。この評価を見た他のお客さんが、果たしてその店に行きたいと思うだろうか。
ここでいま一度、マスクの正しい着け方と、やりがちな正しくない着け方についておさらいしてみよう。また、どの種類のマスクが、飛沫の吐き出し&吸い込みのカットに効果的かも紹介する。
Contents
■正しいマスクの着け方で感染しない・させない!
①マスクを着ける前に、必ず手を洗おう。
最もウイルスに効果的な洗い方は、「ハンドソープで10秒もみ洗い→流水で15秒すすぎ×2セット」。
手洗い方法の再確認で感染対策を万全に!長く洗うよりも効果的な洗い方って?
②マスクを鼻の形に合わせ、隙間を防ぐ。
③マスクを下まで伸ばし、顔にフィットさせる。
④不織布マスクは使い捨て。使い終わったマスクはビニール袋に入れ、口を閉じて捨てる。
無症状感染者が使ったマスクには、ウイルスがべっとりついている。乾燥して空中に浮遊させる前に、ビニールに入れてしっかり口を閉じてゴミ箱へ。捨てた後の手は必ず洗おう。
厚労省が、マスクの正しい着け方の動画(46秒)をYoutubeにアップしている。外国人スタッフにも見てもらい、スタッフに徹底させよう。
■OKな着け方とNGな着け方、スタッフの着け方再確認!
×は残念ながら飲食店でたまに見る着け方。自分や周りの人の着け方をイラストでもチェック!
○ 鼻と口を覆い、顔に合ったサイズのマスクを着けている
飛沫カットに最も効果的な着け方。顔に合ったサイズのマスクで鼻と口を覆い、隙間がない状態。
× 鼻を出している
口元だけ覆っても鼻が出ていては「頭隠して尻隠さず」だ。ウイルスは鼻や口などから侵入したり排出されたりする。
もし自身が無症状感染者ならウイルスバラマキ人間と化するし、同僚やお客さんがそうなら、あなたへの感染率はがぜん高くなる。
× あごにかけている
マスクはあごプロテクターではない。何からも守ってくれない。せいぜいちょっと暖かいぐらいだ。
× マスクが顔のサイズに合っていない
小さすぎるとずれたり、耳や頬に当たって痛みが出る。大きすぎると、隙間ができてそこから飛沫が出入りしやすいので、顔のサイズに合ったマスクを着けよう。
■どの素材が効果的?「不織布マスク」は飛沫カットに高い効果が!
2020年10月15日に国立大学法人豊橋技術科学大学が出したプレスリリース「コロナウイルス飛沫感染に関する研究~マスクの効果と歌唱時のリスク検討~【機械工学系 飯田 明由 教授】」では、どのタイプのマスクが飛沫の吐き出しや吸い込みをブロックするか、スーパーコンピューター「富岳」を用いてシミュレーションをした。
すると、素材や材質によって意外な差が出る結果となった。
令和2(2020)年度第3回定例記者会見 配布資料(PDF)
吐き出し飛沫量では、「不織布マスク」「布マスク」はともに約70~80%のカット率だったが、「ウレタンマスク」は50%。「フェイスシールド」「マウスシールド」は10~20%程度だった。
吸い込みでは、「不織布マスク」は多少の隙間があっても吸引飛沫量を70%カットでき、「布マスク」では35~45%。「ウレタンマスク」では30~40%カットだった。
「フェイスシールド」「マウスシールド」に至っては、エアロゾルは防げず、効果がないという結果だった。
これらの結果から、お店では合ったサイズの「不織布マスク」を、「手を洗って」から正しく着用し、鼻出ししたりあごにかけたりしないことが大切だ。
ウレタンマスクや布マスクは着け心地がよく、洗って再利用できるため重宝している人も多いが、残念ながら飛沫のカット率は吐き出し・吸い込みともに不織布マスクに比べるとそれほど高くない。
野外での利用はともかく、密になりやすい店内での利用は避けたほうが賢明だ。
フェイスシールドだけ・マウスシールドだけでは、マスクをしていないのと同じだと考えよう。
「口元や表情が見えたほうが、接客としてはいいのでは」とか「TVには芸能人がフェイスシールドだけで出ているし大丈夫だろう」などと思いがちだが、芸能人がコロナ陽性になるニュースは毎日のように出ており、感染防止に効果的という説には疑問が残る。
また、上の実験結果を知っているお客さんからしたら、「フェイスシールドやマウスシールドだけで感染対策ができていると思っているなんて、この店は意識が低すぎる」と思われてしまう。
飛沫カット率が高いマスクを正しく着けないと、店内での感染リスクが高まり、お客さんやスタッフが感染しやすくなるだけでなく、お客さんの店に対する不信感や低評価な口コミ、リピーターのストップにも繋がってしまう。
スタッフ全員が、マスクを着ける前に手を洗っているか? 正しいマスクの着け方をしているか? 惰性で適当に着けていないか? 朝礼やミーティングの際に再確認して周知徹底しよう。