業務用としても家庭用としても利用でき、3Dプリンターのようにソースやドレッシングなどの調味料を作ることができるキッチン家電が完成した。
フードテックベンチャー企業であるルナロボティクス(静岡・伊東、岡田拓治社長)は、世界中どこにいても、ソースやドレッシングなど店独自の割合でブレンドした調味料を再現できる調味料プリンター〈colony(コロニー)〉を開発し、今年中をめどにリース販売を始める予定だ。
同社は、これまでキッチン家電では「火加減(調理)」に特化したものが多く「味付け(調味)」に特化したものがないことから、「調味」特化のキッチン家電の開発に着手。箱型の筐体の左右に、調味料などが入った専用カートリッジをセットし、スマートフォンやタブレットにダウンロードした専用アプリからメニューを選ぶと、自動で調合したソースやドレッシングなどが中央の台に射出される仕組みを作った。
すでに開発しただけでも、めんつゆやラーメンのスープ、焼肉のたれ、チキンナゲットのソース、卵かけご飯の醤油、ドレッシングなど数百種類のバリエーションを用意しており、レシピに関しては要望に応じて次々と増やしていけるという。
飲食店で利用する際は、各店舗独自の調味料を作ることも可能で、チェーン展開している企業であれば、国内だけでなく海外でも同じ味の調味料を提供できるようになる。これにより、調理指導の手間が省け、味のブレがなくなり、必要な分だけをその都度調合すればよいのでロスも削減できる。
個店~小型店舗であれば、本体に元となる調味料のカートリッジをセットするだけで済み、作る種類が多い中型店から大型店になれば、外付けの大容量ボックスで多種類の調味料を保存し、そこから調合して独自の調味料を作ることができる。元となる調味料については、はちみつなど粘り気が強いものだと現時点ではうまく稼働せず、液体の調味料を使って調合する形になるという。
基本は専用アプリからメニューを選んで調合する仕組みだが、筐体にボタンを設置したシンプル操作版も開発中だ。本体価格は200万~300万円を予定しており、リース販売する計画で進めている。現在、セルフレジ一体型も開発中で、これが完成すれば注文から精算、調味料調合までを自動化できるという。
また、同社は2019年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が発足した「食と宇宙のシンクタンク SPACE FOOD X」に参画し、2020年、宇宙と地球の食の課題解決を目指す「SPACE FOODSPHERE」の発起人メンバーに選ばれた。米やジャガイモなど、月面で栽培できるといわれている8種の食材を〈colony〉で味付けすることで、料理のバリエーションを増やすとともに、地球と宇宙で同じ料理を楽しめる世界の実現を目指している。