【第31回お題】 ●言葉遣い編●
お客様がご来店され「ご案内いたします」と声をかけ「こちらの席でお願いいたします」とお伝えした
問題
「こちらの席でお願いいたします」この言葉遣いをより良く変換しよう
■解答
「どうぞこちらのお席へ」「こちらのお席です」「こちらのお席をご用意いたしました」
など……
■解説
お席へのご案内は、多くの飲食店での当たり前の行動ですが、お客様にとっては、この後の「楽しいひと時」「おいしい料理」など、席までの間の期待値が上がる大切なアプローチではないでしょうか?
たびたびお題で登場するこの「言葉遣い編」とは、お客様のことを考えて使っているフレーズというよりも、定型文のように無意識で使用してしまっているフレーズを取り上げています。これらを私は「マニュアル語」と呼んでいます。
お題のフレーズが完全に間違っているわけではないのですが、せっかくのお客様のワクワク感を高めようとすれば、もっと違ったフレーズになるわけです。
「こちらのお席でお願いいたします」は「依頼」のニュアンスが入ってきます。実際はそんな意味があると考えて使ってはいないでしょう。そのように使っていなくても、相手は言葉の意味を受け取ってしまうもの。「依頼」を受けた相手の本来の返答は「かしこまりました」になるので、とても「楽しいひと時」の演出の言葉には向かないというわけです。
また「お願いいたします」という言い切りにより「願望」の意味に受け取られることもあります。「願望」とは「自分自身がこのようになってほしい(こうあってほしい)と思う主観的な願い・欲求」なので、お客様に対してお店側が主観となる→ともすれば押しつけ感がある。そんなやり取りをするのはおかしいですよね。
解答例として、ワクワク感を演出する2つのパターンを挙げました。
①スマート……「どうぞこちらのお席へ」「こちらのお席です」
ご案内したお客様の席をスマートにシンプルに紹介する意味を持って使うことで、余計な印象を与えないフレーズ
②エンジョイ……「こちらのお席をご用意いたしました」
お客様のことを考えて、この席を選んだという「さあ楽しんでください」を演出するフレーズ
他にも「マニュアル語」と思われるフレーズがあります。それは「こちらのお席でよろしいでしょうか?」です。やはり意味を考えて使っていないかもしれません。
お客様に対して「お伺いを立てる」意味だと知るとどうでしょう? 恐らくより良いお席をご案内したいと思う気持ちで使っているかもしれないですし、ご案内した席を断られるかもしれないと思って使っているかもしれません。
「お伺いを立てる」とは「問題ないかどうか判断を確認する」ことなので、ご案内先で最後の判断をお客様に委ねるというタイミングとしてイマイチです。タイミングをご案内前に変え、例えば「広めのテーブル席と窓側の席とご案内できますが、どちらになさいますか?」と確認してからご案内するとスムーズです。また他の席が空いていない状態では選択肢はこの席しかないので、やはりこのフレーズは使えないと考えています。
最後に、接客で大切にしてほしいことが一つあります。それは「お客様の表情・目線を見る」です。
解答のフレーズでご案内したとき「向こうの席でもいいですか?」と希望されることがありますが、表情や目線を見ることで言われる前に「向こうの席もご案内できますよ」とか「申し訳ございません。他の席がご予約で埋まっております」など、先手で対応できるからこそ、お客様との信頼度が上がります。お客様のことをくみ取り、言葉にしっかりと意味や想いを乗せて使いましょう。
【第32回お題】 ●入口対応編●
「空いてますか?」とお客様がご来店された時、空席が見えるのにスタッフからは「いっぱいです」としか言われなかった
問題
「ご案内できないとき」と「ご案内できるとき」の2パターンの声かけの仕方を考えよう
次回もご案内に関するお題です。空席があるのに……というシーンは多いはずです。
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