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約60の酒蔵から10年以上熟成した古酒集めブランド化【匠創生】

2022年3月11日 3:14 pm

 パソナグループの匠創生(兵庫・淡路、安村亮彦社長)は、日本の酒蔵で10年以上保存されている古酒を発掘して販売する事業を進める中、さまざまな銘柄の古酒を集めた「古昔の美酒」ブランドを立ち上げた

 同社は職人を支援するためパソナグループのベンチャーファンドを活用して2017年設立。事業を進める中で、酒蔵では酒税法により廃棄できずに保存している古い酒があることを知り、19年に古酒事業をスタートした。

 日本酒は火入れの工程で酵素の働きを止めるため、微生物や酵素を介さずに時間を経ることで物質が変化していく反応のみで熟成されていく。また、アミノ酸と糖、水が褐色物質を合成しつつさまざまな香気成分を生成するメイラード反応も起きるため、時間が経つとブランデーのような色合いになるという。

 日本酒は熟成させると、カラメルのような甘みと香ばしさが現れ、色は黄金色や琥珀色に変化し熟成香を帯てくる。焼酎・泡盛は、熟成させることで、まろやかで甘みを感じる酒質に変わるという。ただし、味の変化の方向性は貯蔵温度やその季節の変化、貯蔵容器、もともとの酒質によって大きく異なり、同じ銘柄でも保存年数が違えば別物の味や香りになる。

 料理とのペアリングでは、繊細な和食よりもフランス料理や中華、イタリアンなど味付けのしっかりした料理との相性が良く、スイーツにも合わせやすいという。

 同社は、これら希少な日本酒をヴィンテージ日本酒としてブランド化し、認知度を高めようと各地の酒蔵を訪問。現在、石川の福光屋、山形の朝日川、兵庫の白雪など全国各地にある約60銘柄の酒蔵と提携し、日本酒、焼酎、泡盛、梅酒の古酒を発掘している。商品化する際にはソムリエが認めた古酒のみを取り扱っており、フランス・パリで開催された「フェミナリーズ世界ワインコンクール」で3銘柄が金賞を受賞した。

 現在は主にオンラインショップ(https://oldvintage.jp/)で販売しており、業務用としても取り扱うものの本数が限られるため、味や銘柄が変わっても問題ないという店舗であれば対応できるという。