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21年は調査飲食店の6割が売上減も22年はコロナ前の6~7割回復を予想【シンクロ・フード調べ】

2022年1月29日 8:55 am

 飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」や物件情報サイト「飲食店.COM」を運営するシンクロ・フードは2021年12月24日~2022年1月5日、飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)を対象に、2021年の飲食店経営と営業の様子についてアンケート調査を実施した。

 同社によると、本調査に協力した回答者のうち68.5%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は53.6%(首都圏の飲食店の割合は70.1%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されるという。

 最初に、2021年11月の経営状況について、新型コロナの影響がなかった2019年の同月と比べてもらったところ、最多となったのは「2019年11月より30%減った(17.2%)」との回答。次いで、「20%減った(14.7%)」、「変わらない(12.3%)」と続いた。


 全体を見ると、「2019年11月より売上が減った」との回答は65.4%で、6割を超える飲食店でコロナ禍以前より売上が減少している状況が明らかとなった。ただ、2020年11月の経営状況を2019年11月と比較した前年の調査では、8割が「2019年11月より売上が減った」と回答しており、コロナ禍1年目と比べるとやや改善傾向にあると言える。

 続いて、2021年の年間総売上の昨年対比(※)について尋ねたところ、「2020年の総売上と変わらない」との回答が12.3%と最も多く、これに「30%減った(11.4%)」、「70%以上減った(9.8%)」との回答が続いた。

 全体では「昨年よりも総売上が増えた」との回答が26.4%得られた一方、61.3%が「昨年よりも総売上が減った」と回答しており、半数以上の飲食店で苦しい状況が続いていることがわかる。

※本調査は2021年12月24日~2022年1月5日に実施したもので、12月後半分の売上高については一部予想も含む。

 次に、2021年に特に印象的だったトピックスを聞いたところ、最も多かったのは「自治体による酒類提供の停止や休業要請」との回答で、71.9%。以降、「自治体による時短営業要請(60.0%)」「相次ぐ食材の価格高騰(31.3%)」「協力金の終了(28.1%)」が続いており、新型コロナ関連のトピックスが多く上位に入る結果となった。

 2021年の飲食店経営で最も苦労したことについては、各地で「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などが適用されていたこともあり、時短や酒類提供停止といった「自治体要請に応じながらの営業(63.6%)」が最多となった。

 さらに、「店舗家賃、光熱費など固定費の支払い(29.2%)」、「感染防止対策の継続(28.8%)」、「従業員の雇用維持やシフト調整(28.6%)」、「客足の回復に向けた販促活動(28.3%)」も共に3割近くの回答があり、コロナ禍での飲食店経営に対する苦労が垣間見える結果となった。

 また、今年新たに始めたサービスや工夫については、31.7%が「特にない」と回答する一方、コロナ禍で需要が高まっている「テイクアウト(28.6%)」「デリバリー(22.1%)」を始めた飲食店も多かったようだ。このほか、「SNSを使った集客・販促(19.2%)」を始めたとの回答も目立った。

 2022年の売上について、どの程度回復するか予想してもらったところ、最も多かったのは「コロナ以前の6~7割程度は回復(34.8%)」との回答。次いで、「8~9割程度は回復(27.7%)」、同率で「5割程度は回復(9.4%)」、「回復しない(9.4%)」との回答が続き、「コロナ以前の状態まで回復する」との回答は8.7%に留まった。

 最後に2021年を振り返っての感想と2022年への思いを尋ねたところ、「コロナに振り回された」、「客足が回復するか不安」といった苦労や不安を吐露する声が聞かれた一方、「新たなことに挑戦する」など、前向きに動き出している声も寄せられた。

コロナや政府・自治体の要請などに振り回された
・新型ウイルスに振り回された一年だった(東京都/カラオケ・パブ・スナック/3~5店舗)

・あっという間の一年だった。感染症対策と政府方針に振り回された年だった(神奈川県/専門料理/2店舗)

お客さんの生活様式が変わり、客足が戻らない
・緊急事態宣言などにより長期間の時短営業でお客様の習慣が変わったのか解除後は夜の来客が激減している。来年は人件費を抑えるため、閉店時間を見直す必要がありそう(千葉県/ラーメン/1店舗)

・コロナ感染者は減りましたが、飲食店への客足は元通りにはならない、ということが分かりました。皆さんのライフスタイルが変わったのだと思います。それならば、回数が少なくなっても、是非行きたい店、絶対食べたい料理、と言われるように精進しようと思います(大阪府/イタリア料理/1店舗)

協力金の恩恵を実感
・政府からの時短、酒類販売要請を守り営業をしていたが、協力金を頂くことによりお店の存続ができるようになったので助かっている。今後も通常に戻るまでは援助をしてもらいたい(東京都/ラーメン/1店舗)

・飲食店にとっては厳しい年だったが、協力金のお陰でずいぶん助けられた。しかしそれがなくなった今、頼れるのは自店の努力のみ。2022年はそれをやらなければ生き残れない(東京都/アジア料理/3~5店舗)

協力金がなくなることへの不安
・協力金もなく来年から売上が戻らなければと考えると不安でしかない(神奈川県/カフェ/1店舗)

・協力金がなくなってからの運営が厳しい(東京都/カフェ/3~5店舗)

常連客に支えられた
・時短営業が終わってお酒の提供ができるようになって、真っ先に来ていただいた常連のお客様方に感謝している(東京都/専門料理/1店舗)

・足繁く通ってくださるお客様に支えられた年でした(東京都/イタリア料理/2店舗)

酒類提供の停止要請が大変だった
・とにかく酒類停止がきつかった(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・居酒屋にとって酒抜きの営業は大変致命的でした。お食事のみでも原価率を抑えられるよう、今年は工夫していきたいと思いました(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)

新しいことに挑戦する、挑戦し始めた
・来年も変異株拡大の恐れなどで、先行きは不透明ですが、しっかりガードを固めつつ新しいことにチャレンジしていければと考えております(東京都/アジア料理/1店舗)

・コロナ禍で苦労もしたが新たな事業を始めるきっかけにもなった(東京都/フランス料理/3~5店舗)

来年は新規客を増やしたい
・協力金が終了して通常営業に戻ったが、コロナ禍以前のような状態に近付くまでには、まだまだ時間がかかるので、それまでに息切れしないように新規顧客開拓等を進めつつ、既存の海外顧客との繋がりも維持していく(東京都/バー/1店舗)

・日本酒専門の居酒屋としては、コロナの影響で酒の提供ができなかったり、時短要請があり思うように営業ができなかったりしたのが21年の感想です。来年は、常連客の来店頻度を増やすことと新規客を増やしていき経営の安定化を計っていきたい(東京都/バー/1店舗)