求人/人材教育役立つシステム

急な欠員があっても翌日のバイトを即募集できるアプリ【Wakrak】

2019年3月26日 11:20 am

「明日人手が欲しい」にも対応

 恒常的に人手が足りない店舗に加えて、新店舗開店時やスタッフがインフルエンザにかかり急きょ人手が足りなくなるなど、猫の手も借りたいという状況が発生した際に役立つデイワークアプリ「ワクラク」がじわりと注目を集めている。

 ジー・テイストやSFPホールディングスなど大手飲食店を含む300社が導入している、1日単位で仕事を発注し、アプリのみで雇用契約できるデイワークアプリ「ワクラク」を運営するWakrak( 東京・青山一丁目、谷口怜央社長)は昨年、1億円の資金調達を実施。店舗運営のコンサルティングを手掛けるビズキューブ・コンサルティングや厨房機器販売を手掛けるテンポスバスターズなど12社とパートナー契約を結び、外食業界を含めたサービス業での導入を加速している。

 「ワクラク」の最大の特徴は、欲しい時に欲しい人数のアルバイト(以下バイト)を集められる点だ。1日単位でバイトを募集でき、契約に同意することで直接雇用契約が成り立つ仕組みを作り、これまで3日前までに掲載された案件では98%で人手を確保できているという。

 谷口社長は「長期のバイトで契約しても、人間関係でトラブルがあったり、休みたくても休めないなどの職場環境を理由に辞めるバイトが多い。1日単位なら空いた時間に仕事でき店舗からの拘束もないため、ワーカーの登録がどんどん増えている。サービス開始から1年で約4万人のワーカーが登録し、事業者からは月2000~3000件程度の仕事が掲載されている。現在は、前日や当日の掲載でも応募があるようだ。飲食店では、ホールで料理を運ぶだけなど仕事を限定して募集していることが多い」と話す。

 店舗側にとっては、急に人手が必要になった際に役に立つほか、アルバイト募集の準備や求人広告の費用がかからず、応募者への対応、面接・契約などの手間も削減できる点がメリットとなる。

 利用者はサイト上に顔写真入りのプロフィールを作り、Wakrakが銀行口座と電話番号などで身元を確認することで、複数アカウントの作成やなりすましを予防している。店舗側は、応募者のプロフィールと、これまでワクラクを使って働いた履歴などを確認できる。一方、店舗側ではバイトを選別できず、利用者が応募した時点で契約となるため、不安に思う飲食店もある。

 この点に関して谷口社長は「以前に似た仕事を経験していることが多く、仕事の覚えも早い。実際には同じ店舗からの仕事が掲載されると毎回応募する人が多いため、通常のバイトのシフトを組むのとほぼ変わらない感覚になっているようだ。店長が無駄な仕事をしなくて済み、休めるようになったという話をよく聞く」と話す。

 ワクラクが利用者を拡大しているもう一つの理由が、ペイミーが提供する即日給与払い「Payme」を利用している点だ。店舗側は通常通りの締め日でWakrakに支払うだけで、これまで雇うことができなかった日払い希望のバイトも集まるという仕組みだ。今までのところドタキャン発生率は1%以下で、2回ドタキャンすると利用停止となる。 利用料金の安さも、大きな武器となっている。アプリへの仕事掲載や導入時の初期費用、月額利用料、固定費などは一切かからず、給料の10%のみ支払う。このため、利用者が時給1000円で5時間働いた場合は、Wakrakに500円支払うことになる。

 谷口社長は「当社利用の店舗での平均時給は1000円前後だ。1000円ではバイトが集まらないと時給を上げる企業もあるが、働きたいと思った時だけ働ける環境を提供するだけで、時給を上げなくても人は集まる。中にはトータルで1000万円のコスト削減に成功した企業もある」と話す。今後の長期的なビジョンとして、全ての仕事の領域を網羅し、「ワクラク」のアカウントがあれば、国内外、ジャンルを問わずどのような仕事でも働きたい時にすぐに働ける環境を創り出し、仕事のあり方を変えることを目指す。

日本外食新聞3月15日号掲載