店内で感染予防をしながら楽しく飲食でき、でも面倒くさくないグッズを──。
大阪・なんばを中心に「焼とんyaたゆたゆ」など、グループ12店舗を運営する川端屋商店の代表、川端友二さんが、マスク会食をもっと愉しく、現実的にできないか? と昨年11月頃から考え、企画したのが「食べれマスク」だ。
最初は「しゃべれマスク」と呼んでいたが、まん延防止等重点措置で、店での飲食中にもマスク着用を促す機運が高まる中、「普通の耳にかけるマスクを下にずらして、食べて戻して、また喋るとかはありえない。この『食べれマスク』は、手で持って使うマスク。『しゃべれマスク』でもあり、『飲めマスク』でもある」という。
大阪のタウン誌「meets」の知人と話しているときに生まれたアイデアだといい、「お客さんに、とにかくお店に来て欲しい。そして、安心して外食を楽しんで欲しい。そのためにも、何か飲食店側からも発信したかった。『食べる』と『しゃべる』。その両方を叶えようとしたら、こうなった」と川端さんは説明する。
3月下旬から自社で使い始め、4月上旬には他社にも分け始め、現在では専用サイトで受注生産して同業者にも分けている。川端さんが言う。
「全国に広げて感染抑制に繋げ、『食べれマスク』取り組み店は通常営業が出来るようにしたい。そのためには、このマスクの拡散と、お客さんへの使用の徹底が必要。これには政府の後押しも必要かと。店内での『食べれマスク』や扇子を使用義務……のような」
「おしぼりと同じようにお客さんに配って、使い捨ててもらうので衛生上も安心だ。飲食店が多くの感染源ではないのに、悪者扱いをされている。とにかく、行動を起こして、〝みんな〟で抑制していこう!という空気づくりにこの『食べれマスク』が一翼を担えればと思う」
「飲食が悪のようになっているが、人間活動には居酒屋が必要だ。感染防止と経済活動を両立させるために、このマスクが役立つかもしない。たった紙切れ一枚だが、意識が変われば状況は変えられると思う」
川端さんはこれまでにも、2回目の緊急事態宣言時には大阪・裏なんばの飲食店と共同で、1月22日から約1カ月間、5回にわたり、「飲食店も仕入れ業者もお客さんも、みんながハッピーになれるように」と、5店舗の飲食店のつまみが盛り合わせになった「お家でハシゴ ウラなんば肴盛り おいしいのコラボ」と銘打ったオードブルを企画して、裏なんばを盛り上げるなど、飲食店の魅力を発信してきた。
「食べれマスク」の普及・定着により、飲食店を悪者扱いする風潮が変わるかもしれない。
■「食べれマスク」販売サイト
https://taberemask.stores.jp/