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日本酒の香りを言語化すると味が変わる!? 「ソムリエAI」が風味をイメージしやすい単語で視覚化【セントマティック】

2020年12月11日 12:48 pm

 

 さまざまな風味や香りを楽しめ、1万以上の銘柄がある日本酒だが、消費者が認知している銘側は0.1%程度だという。特にあまり日本酒に触れていないエントリー層にとっては、難しくてとっつきにくいといった印象を持たれ、何を頼めばいいか分からないという人も多い。

 香りを言語化するデジタルシステムで新たな顧客体験を提案するSCENTMATIC(セントマティック、東京・恵比寿、栗栖俊治社長)は、より日本酒の個性豊かな味わいをより多くの人に知ってほしいと、日本酒の風味を言葉でわかりやすく可視化する「日本酒ソムリエAI KAORIUM for Sake」を開発し、神奈川・横浜高島屋に12月11日オープンする「BAY-ya(ベイヤ)」で初導入した。

 同店は、同製品の開発にも携わった酒ソムリエの赤星慶太氏が監修したフードペアリングバーで、赤星氏が来年1月に東京・新宿にオープンする日本酒バル「AKAKUMA」にも導入する予定。

 セントマティックは香りのビジネスデザイン集団として2019年に設立。同じ料理やドリンクでも、香りや風味を言語化し意識して味わうことで、今まで感じられなかった風味や味わいに気付き、味が変わることなどを発見。インターネット上の膨大な言語表現と人々の香りの感じ方を学習して香りを言語化するAIシステム「KAORIUM」を開発した。

 今回、その「KAORIUM」に日本酒の風味情報と1万人以上から収集した感性データを赤星慶太氏の感性と融合させることで、日本酒の香りや風味を言語化する「日本酒ソムリエAI KAORIUM for Sake」をリリースした。

 同製品は、タブレットのメニューリストに載っている日本酒をタップすると、その日本酒が持つ香りや風味を視覚化するシステム。日本酒の味の説明として良く使われる「キレ」や「透明感」といった言葉とともに、「ふくよか」「すずしげ」「あたたかみ」の三つの要素の中でどれが強いかといったバランスを視覚的に表現する。

 さらにその要素を細分化し、ライチやラムネ、白菜、銀杏、百合など通常の日本酒の説明ではあまり使われないもののその日本酒の中に感じられる香りや風味の要素と、「夕暮れ時の涼風」「若葉の煌めき」などのイメージも合わせて表示することで、特徴を分かりやすくし、専門知識がなくても楽しみながら選んで味わえるようにした。

 また、同じ画面上にそのお酒に合う料理をペアリングの解説とともに入れられるので、料理の注文にも結び付けられる。

サービスを紹介する栗栖俊治社長

 来年4月には、飲食店向けサービスとして本格的に販売する予定で、料金などは未定ながら、初期導入費用ゼロ・月額料金半額の特別プランなども検討している。導入する際には、店舗で取り扱う日本酒の銘柄を確認し、そのデータを作成し納品となる。機材は、セントマティック指定のタブレットを店舗側で用意するか、専用機材を購入する形になる予定。

 栗栖俊治社長は発表会で「幅広い層に日本酒を楽しんでもらえるとともに、店舗の差別化や対面接客の削減、接客品質の向上にも役立つ。また、高品質な飲食体験を提供することで、顧客満足度が向上し、リピーター獲得にもつながる」と説明した。