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PGIマーク・PDOマーク・ユーロリーフって何?いまEU食材がお買い得なこれだけの理由【EU】

2020年11月1日 9:41 am

〈デンマーク産ダナブルーと牛のわさび菜包み〉

 2019年2月1日に、日本と欧州連合(EU)間で経済連携協定(EPA)が締結され、EU産の食材や飲料の輸入関税が撤廃されてから、ワインやチーズ、肉類、チョコレートなどのEU産品が手頃な価格で入手できるようになった。

 これらのEU産品には、青いマークや赤いマーク、緑のラベルのいずれかが付いている。このマークは何かというと、安全性や品質保証がしっかりなされているというお墨付きを表しているのだ。

 青いマークの「地理的表示保護(PGI)」は、生産段階のうち少なくとも1つが当該地域で行われていれば、このマークが付けられる。

 例えば、「サラミピエモンテ」の原料となる豚肉はドイツ産でも、イタリア・ピエモンテ州で製造されていればPGI認定が受けられる。

地理的表示保護 (PGI)

 赤いマークの「原産地呼称保護(PDO)」は、生産、加工、調理のすべてが特定の地域内で行われていることを示すもので、PGIよりもさらに厳しいルールが課せられる。

 有名な例でいえば、フランスのシャンパーニュ地方で、フランスのワイン法律にのっとって定められた製法で作られたもののみとなる「シャンパン」もPDOにあたる。

原産地呼称保護(PDO)

 緑のラベルは、「EUオーガニック認証ラベル(ユーロリーフ)」だ。EUの有機食品生産規則に従って生産されたものが認証される。

 製品の生産には添加物や加工助剤が使われておらず、加工中に非有機原材料に触れていない食品・飲料であることを示す。

 遺伝子組み換え作物の使用も禁止、化学肥料、農薬の使用も制限されていなければならず、ホルモン剤や抗生剤の使用はもちろん禁止されている。

EUオーガニック認証ラベル(ユーロリーフ)

 これらの厳しい品質認証制度は、製品の信頼性や品質の高さ、厳しい安全基準を遵守していることを明らかにするもので、ヨーロッパ独自の制度だ。

 コロナ禍において健康や安全への関心が高まるなか、これらの認証制度で保証されたEU産品を使用することで、お客さんへ安心安全な料理が出せるのだ。提供時に上の情報を伝えれば、さらに信頼感が増す。

 しかも関税撤廃により、以前よりも価格が全般的に下がっている。安全で高品質かつ廉価なEU産品は、飲食店にとってお買い得な食材といえる。

 料理・食文化研究家で女子栄養大学食生活指導士の庭乃桃さんは、「普段の食材にEU産品を組み合わせることで、飽きの来ないメニュー非日常感が味わえる料理に仕上げられる」と指摘する。

 「特に外食やテイクアウト、デリバリーでは、『せっかく外食やデリバリーをするなら珍しいものが食べたい』とか『価値があるものを食べたい』などといったニーズを満たせるのではないか」(庭乃さん)

 EUが主導する、日本国内におけるEU産品の認知拡大や食の新しい発見を支援する「パーフェクトマッチ・キャンペーン」を、来年12月まで継続中だ。庭乃さんはこの中で、EU食材と日本で手に入る食材を合わせた「Perfect Match」レシピを提案。

 〈ベルギー産チョコレート&八丁味噌だれの黒豚ひと口カツ〉や〈フランス産フロマージュ・フレとしめ鯖のサラダシウラナ産オリーブオイルがけ〉など、日欧の食材をマッチングしたレシピをサイトで公開している。

Perfect Match
https://europa.eu/food-match-japan/ja/perfect-match

 「また、EU産品を使用すると、『ストーリー』が簡単に構築できる」と庭乃さんは言う。

「これは寒い時によく食べるとか、行事の時のごちそう料理など、食材や料理をめぐっての『風景』を演出しやすい。単に『プロヴァンス風』と銘打つだけでなく、生のハーブをお客さんに嗅いでもらうなどして、EUの食文化を通じて、食材や料理そのものに集中させられる」(庭乃さん)

〈ドイツ産シュヴェービッシェ・シュペッツレの 干し椎茸&ルーマニア産白ワインのクリームソース〉

 家こもりやテレワークが続くなか、「自炊疲れ」という言葉も聞かれるようになった。「家では作れない料理」や「非日常感が味わえるメニュー」に対する欲求は高まり続けている。それらを外食で食べられれば、お客さんの満足度は格段に高くなるに違いない。

 EUは、「フードビジネスのプロの皆さんにも、ぜひ日欧食材を組み合わせた料理で、一般消費者への新たな提案をしてもらえれば」と期待を込める。

 風味の良さに加え、品質認証制度や手頃な価格、さらに長い歴史や文化を背景としたストーリーが存在する、お買い得なEU食材。和洋中問わず、さまざまな料理に使用してみるのもいいかもしれない。

関連リンク:
ヨーロッパの食材×和食材 | Perfect Match

https://europa.eu/food-match-japan/ja