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「絞め」を科学して熟成真鯛の大量生産に成功!【食縁 & 近畿大学】

2019年11月20日 3:05 pm

〈鮮熟真鯛(せんじゅくまだい)〉の刺身

 近畿大学発ベンチャー企業であるアーマリン近大の関連会社の食縁(和歌山・紀伊佐野、有路昌彦社長)は、伝統的な熟成法を科学的に分析して作った真鯛の熟成魚を大量生産する方法を世界で初めて(同社調べ)確立した。近畿大学水産養殖種苗センター技術員の亀島長治氏と共同開発したもので、熟成魚「鮮熟真鯛(せんじゅくまだい)」として販売も始めた。

 熟成魚のおいしさは、魚を絞めると速やかに上昇してその後減少する「グルタミン酸」と、もう一つのうま味成分で魚のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が分解することで生成される「イノシン酸」の濃度で決まる。熟成させる際には、魚を絞めて加工するタイミングによってATP量が変化することや、食感とうま味を調整する際の見極めが難しいことなどが課題となっている。

〈鮮熟真鯛(せんじゅくまだい)〉を使った握り寿司

 これらの課題を解決するために、①活きた魚を独自の方法(企業秘密)で絞めて冷やす際の温度とその温度に持って行く最適な時間をコントロールし、うま味成分の原料となるATPを最大限保持②寿司のねかせ技である「たて塩」を、大量の切身でも最適な塩分と水分量で均一になるようにした③温度をコントロールしながら寝かせ、うま味成分が最大になった時点で瞬間冷凍する――という製法を開発。さらに熟成は、厳格な衛生管理環境下で「ねかせ」を行わなければ食品リスクが高まる。同社は、世界最高水準の衛生管理基準であるEUHACCPを取得していることから、通常の生鮮品よりも高い安全性を担保するという。商品名〈鮮熟真鯛〉の「鮮熟」とは、「鮮度感を保ちつつ熟成感を味わう」という目的で、古くから伝わる料理人の職人技をイメージして、活魚から作り出された熟成品を表現した。

大量生産できるようになった熟成魚〈鮮熟真鯛(せんじゅくまだい)〉

 有路社長は「プロの寿司職人にもチェックしてもらい、まったく変わらない味との評価を得ており、伝統的な製法と同じ熟成魚を1度に最大200尾(400枚)製造できるようになった。これにより回転寿司でも、本格的な熟成魚を提供できる」と説明。他の魚種についても研究を進めている。

 11月21日まで、養殖魚専門料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所 大阪店」(大阪市北区大深町3-1グランフロント大阪北館6階)と「同 銀座店」(東京都中央区銀座6丁目2番先 東京高速道路山下ビル2階)で、〈近大支援食縁の鮮熟真鯛薄造り〉税別800円と、〈近大支援食縁の鮮熟真鯛握り寿司〉同550円(両メニューとも各店舗ディナーのみで1日10食限定)を提供している。

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