環境問題への意識の高まりから注目される食品ロス(フードロス)。この問題では何かと外食産業が目の敵にされがちだが、実は家庭から出るフードロスのほうが多いのをご存じだろうか。
環境省の調べによると、日本では2020年度に約522万トンの食品ロスが出ており、うち家庭から約247万トン、事業者から約275万トンが発生したと推計されている。事業者の内訳をみると外食産業は約81万トンと、家庭由来の3分の1なのだ。
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■多くの飲食店で食品ロス対策が浸透
飲食店の物件情報サイト「飲食店.COM」などを運営するシンクロ・フードが、飲食店.COM会員を対象に、店舗で最も多いフードロスの内容について尋ねたところ、「フードロスをあまり感じていない(25.6%)」との回答が最多となった。
上記のとおり普段からフードロス対策が浸透しているため、特に意識していない様子がうかがえる。
次いで、「皮・へた・芯などの野菜くず(23.8%)」、「お客さまの食べ残し(19.3%)」との回答が続いた。
フードロスを防ぐための工夫を尋ねたところ、最も多かったのは「食材の仕入れ量を最小にする」との回答で54.8%。
続く、「無駄な食材が出にくいメニューの開発(47.0%)」、「冷凍保存(44.9%)」、「冷蔵冷凍庫、食材保存庫の整理整頓(44.3%)」、「先入れ先出しの徹底(43.1%)」との回答も、それぞれ4割を超える店舗が行っている。
さらに、全体のうち約7割の店舗は複数の工夫を組み合わせて実施しており、フードロスに対する取り組みが飲食店で浸透している様子がわかる。
■一方でサステナブルシーフードの認知度は低い
また、SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる17の目標のなかには、海の資源を守るための目標もある。この目標達成につながる取り組みの1つが、水産資源の回復を目的としたASC/MSC認証だ。
ASC認証は、ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)が管理する、環境と社会への影響を最小限に抑えた養殖場に対する認証。
一方でMSC認証は、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)が管理する、水産資源と環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業に対する認証だ。
現在、世界的なSDGs推進の機運も後押しとなり、「サステナブル・シーフード」への関心が高まりつつある。サステナブル・シーフードとは、水産資源や海の健全性が長期にわたって確保される形で生産された水産物のことだ。
具体的には、ASC認証を取得した養殖場で育てられたASCラベルが付いた水産物、あるいはMSC漁業認証を取得した漁業で獲られたMSC「海のエコラベル」が付いた水産物をいう。
そこで、水産物を仕入れる際にMSC「海のエコラベル」または「ASCラベル」のついたものを選んでいるか聞いたところ、「選ぶ」(必ず選ぶ=0.4%、できるだけ選ぶ=3.6%)と回答したのはわずか4%にとどまった。
一方で、47.0%が「MSC/ASC認証を知らない」と回答しており、認証制度の認知が進んでいない現状が読み取れる。
今後は、消費者が飲食店を選ぶ際に「サステナブルな食材を使っているかどうか」が選択基準の1つになっていくだろう。サステナブルシーフードを使用することで、SDGsに貢献しているとPRできそうだ。
以上の調査は、2022年8月2日~5日、飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)445人から回答を得た。