
厨房機器大手のホシザキは7月28日、真空冷却とマイクロ波加熱を組み合わせることでドリップを抑制しムラの少ない解凍を実現した〈真空マイクロ波解凍機 HVM-8TA3-T〉を発売する。
食材の解凍方法として一般的な約40度の温かい塩水を使った温塩水解凍や、流水解凍などでは、溶けやすい表面と溶けにくい内部で解凍ムラが発生するが、〈真空マイクロ波解凍機〉では、食材全体を電子レンジと同じマイクロ波で加熱しながら、食材表面を真空冷却することで、食材表面と内部の温度差を広げずに解凍できるようにした。
真空冷却とは、庫内を真空にすることで水の沸点が下がり、食材表面の氷が水にならず直接水蒸気になる昇華現象が起こり、その時に周りの熱を奪うため、食材表面の温度が下がるというもの。この2つの組み合わせにより、うまみ成分(ドリップ)流出の原因となる細胞の損傷を抑制し、解凍ムラが少なく、高品質の解凍を実現した。
食材による解凍時間の例としては、マグロ赤身の柵(5kg)では温塩水解凍で約2時間かかるところを約40分に、しらす(1kg)では冷蔵庫解凍で約12~24時間かかるところを約20分に、牛タン(1.5kg)では冷蔵庫解凍・温風式解凍庫解凍で約12~24時間かかるところを約15分にそれぞれ短縮でき、販売機会の創出にも役立てられる。
さらに、旧製品の大きさと価格についての顧客からの要望を踏まえ、技術改良とコスト低減努力を重ね、高い解凍性能を追求すると同時にサイズを小さくし、静音化を実現。形も縦長から上部をテーブルとして活用できる横長に変更し、操作ボタンはタッチパネル式で、解凍物の重量と解凍レベルを設定するだけで誰でも簡単に操作できるようにした。
サイズは幅1100×奥行600×高さ800㎜で、1回につき0.5~8.0kgの解凍処理が可能。価格は旧製品よりも3割減となる295万円(税別)となっている。今後、焼き肉チェーン店や回転寿司チェーン店などへの導入を目指すとしている。