
訪日外国人が多く訪れるエリアで営業している飲食店では、ヴィーガンやベジタリアン、ハラルなど多様な特定の食習慣に対応した料理のニーズが高まっている。しかし、どのような料理を提供すればいいのかわからず、外国語対応もできないということで集客のチャンスを逃している飲食店も少なくない。
そこで、新規事業開発やイノベーション創出を支援するRelic(東京・恵比寿、北嶋貴朗社長)は、それぞれの飲食店の仕入れに合わせて提供できるヴィーガンやベジタリアン、ハラルに対応したレシピを提案し、そのメニューを外国人観光客向けに紹介し決済まで対応するアプリ〈MOEMI〉をリリースした。
同社は、訪日外国人観光客が右肩上がりで増えている一方、国内の飲食店でベジタリアン・ヴィーガンなどの特定の食習慣に対応できている店が少ないことから、訪日外国人の利便性向上に加え、飲食店にとっても新たな顧客層との接点創出を図れるツールとして〈MOEMI〉を開発したという。
具体的には、イタリアンやフレンチ、中華、インド、和食、アメリカン、洋食、アジアン/エスニックなど多様なジャンルで、ヴィーガンやベジタリアン向けに提供できるレシピを約30品用意しており、サポートメンバーが飲食店が仕入れ可能な食材で作れるレシピを提案。その料理と店舗の情報を〈MOEMI〉に掲載する。
外国人ユーザーは、プロフィールに登録した「食べられない食材」をもとにマッチする飲食店がアプリの地図上に英語で表示されるので、その飲食店までの道案内を見ながら店に行くことができる。店に着いた後はメニュー画面を見せるだけで店側が料理を提供し、支払いも〈MOEMI〉上で完結するため、店員との日本語でのコミュニケーションを簡略化できる。料金は後日、手数料(非公表)を引いた金額が店に振り込まれる仕組みとなっている。
店側にとっては、アプリの画面を見て料理を提供するだけで、支払い時のやり取りも不要なことから、英語ができなくてもスムーズに対応できる。また、食事メインで滞在時間が短いため、回転率を上げられるというメリットもあるという。
一方、外国人観光客に対しては「せっかく旅行に来たのに対応している店舗が見つからない」「日本語のコミュニケーションが難しく、食べられない食材を説明できない」といった不満を解消できるとしている。
飲食店は、無料で店舗情報と〈MOEMI〉から提案を受けた特定の食習慣対応メニューを掲載でき、利用料金は決済時の手数料のみ。今後、東京以外の店舗掲載を拡大し、ユーザー向けのクーポンや顧客分析レポートなどの機能も追加予定で、旅行者がより気軽に日本の飲食店を訪れるきっかけづくりに注力していくとしている。