
日本酒「八海山」などを製造・販売する八海醸造(新潟・南魚沼、南雲二郎社長)は4月14日、米・ニューヨークのブルックリンで日本酒を製造・販売するブルックリンクラ(ブライアン・ポーレン社長)が造る日本酒3品をグループ会社の八海山が輸入元となり日本国内で発売する。
八海醸造は「SAKEを世界飲料に」との目標を掲げており、その一環として2021年に「クラフトSAKE」を製造するブルックリンクラと資本業務提携を結び、八海醸造から職人を派遣。技術協力しながらアメリカの蔵人の日本酒造りを支援している。
ブルックリンクラは純米酒にこだわり、原料となる米はアーカンソー州産「山田錦」とカルフォルニア州産「カルローズ米」の2種を、仕込み水はニューヨーク市北西部にあるキャッツキル山地から採れる、八海醸造の仕込み水と同様の「極軟水」を使用している。酵 母と麹は日本から調達しており、現在の最大生産能力は5000石。日本酒を楽しめるバーと日本酒について学べる「酒スタディセンター」も運営している。
記者会見でブルックリンクラのブライアン・ポーレン社長は「ローカルな原材料を使った生酒を中心に10種以上の酒を造っている。今回、米国で販売中の製品の中から当社の全体像が伝わる3品を厳選した」と説明。
八海山醸造の南雲二郎社長は「淡麗でバランスの良い食中酒を目指している当社では造らない、酒自体を楽しむ酒質の製品。色々な嗜好の人達に合わせられるようにと日本での販売を決めた」と経緯を語った。
3品のうち〈CATSKILLS(キャッツキル)〉は山田錦を使い精米歩合50%、アルコール分16度、日本酒度-2.7。繊細で奥行きある味わいが特徴の製品。
〈GRAND PRAIRIE(グランドプレーリー)〉も山田錦で精米歩合60%、アルコール分16度、日本酒度-3。ドライで軽やかな吟醸酒の味わいを実現したという。
〈OCCIDENTAL(オクシデンタル)〉は、発酵の最終段階でドライホッピングした華やかな香りとバラ色の見た目、ほんのりとした甘さが特徴の挑戦的な製品で、他の2品は清酒だがこの製品はリキュール扱いとなる。米はカルロ―ズ米で精米歩合50%、アルコール分14度、日本酒度-12.4。
◆同社初となる米を70%以上使った国産ライスウイスキーも発売
また、八海醸造は米を70%以上使い単式蒸留器で造った同社初のウイスキー〈Hakkaisan シングルグレーン 魚沼8年 ライスウイスキー2025LIMITED〉(700ml、小売価格1万3200円)を4月1日、2500本限定で発売する。
同社は05年に深沢原蒸留所で米焼酎の製造を始め、16年から同蒸留所でウイスキー製造にも着手。グレーンウイスキーでは連続式蒸留器を使うのが一般的な中、より米の風味を残すために単式蒸留器で2回程度の蒸留にとどめ、オーク樽に貯蔵。納得のいく風味となるまで8年貯蔵したウイスキーを製品化し、アルコール度数も最適なものとして52%にした。一部のバーや専門店のほか、オンラインショップで抽選販売も行う。
数年後には、現在、同社グループ会社のニセコ蒸留所(北海道)で製造を始めたモルトウイスキーとのブレンデッド製品も製品化する予定だという。