求人難・人手不足が叫ばれる飲食業界にあって、「応募率が高い」と飲食企業から評判の求人サイトがある。2024年5月31日にサービスを開始した〈グルスタ〉がそれだ。
グルスタ(愛知・名古屋、山元舞人社長)はサービスを開始以降、わずか半年で常時求人案件数約7000件(店舗数約4000店)に達するなど、新興企業としてはかなり速いペースで掲載企業が増加している。
ちなみに個人店に強く掲載件数の多い〈飲食店ドットコム〉で約6.4万店舗なので、新参者としては中々の滑り出しといえる。
なぜ、同社がそこまで注目を集めているのかというと、そのユニークな仕組みにある。簡単に説明すると、求人者からの応募に対してレスポンスの速い企業が掲載上位になるのだ。
これまでの「たくさん広告費を払った企業が掲載上位に来る」といった求人サイトの常識を打ち破った点が中小飲食企業の注目を集めている所以といえる。代表の山元舞人さんが言う。
「日本の飲食業界は本当に素晴らしい。その良さを若者に伝え、飲食業界で働くことが格好いいことだと思って欲しくて、このサイトを立ち上げた。社員で働いて欲しいから、アルバイト採用は一切やらない」
同社は求人の原稿作成も行ってくれるのだが、この飲食業界への熱量は原稿作成にも現れている。というのも、基本的に業態が異なる場合、コピペは一切しない。そして、基本的なテーマは「読んでいてお腹の空く原稿」を心がけている。その方が応募が来るからだという。
しかも、応募者のペルソナを立て、名前まで付ける。より具体的なライフスタイルを設定して、そういうキャラクターの人が集まるように尖らせて、その店限定に若者が応募したくなるように書くのだ。時に食材のストーリーから追いかけたり、それを食べる人が笑顔になる――そうした原稿に心を打たれて応募する、それが同社が伸びている要因かもしれない。
同じ企業でも、業態が違う場合はヒアリングし直して原稿を書く。1案件ずつ丁寧に飲食企業に向き合い、手作りで仕上げる原稿だからこそ、若者の心を打つのだろう。
〈グルスタ〉の特徴は、この魂を込めた手作り原稿、そしてレスポンスが速い企業が上位に掲示されるだけではない。掲載料は無料で、問い合わせ1件に対して課金(5万円)されるという仕組みなのだ。これは、正社員の求人サイトだと〈グルスタ〉のみ。
しかも例えば18~35歳など、欲しい求人年齢の設定ができ、その設定年齢の応募のみに課金され、プラス5歳ならばマイナス5000円など、対象年齢以外の応募に対応した場合は減額される。
また、外国籍の人は正社員で働けないケースが多いため、その応募に関してもノーカウントとなる。また、競合店のいたずらなどもノーカウントになる。
この求人サイトを通じて、山元さんはこんな大志を抱く。
「飲食業界のはじめの一歩から変えていきたい。飲食(グルメ)+一歩(スタート)でグルスタと命名した。飲食業界の輝く未来のために、『誰だってやればできる。何でもできる』ことを、飲食を目指す若者達に伝えていきたい」