ピックアップ開発秘話読むと得する

辛さ抑え生食できるフルーティーな新唐辛子が誕生! 【味の素&川崎市】

2019年8月21日 6:43 pm

 

 辛さが少なくフルーティな香りが楽しめる川崎市発の唐辛子の新品種〈香辛子(こうがらし)〉が誕生した。辛さが少ないのは、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンと非常によく似た化学構造を持ちながら、辛さは1000分の1しかないカプシエイトが、カプサイシンの替わりに含まれているため。

 〈香辛子〉はもともと、神奈川・川崎市にある味の素の研究所で、サプリメント用に辛さを抑えながら脂肪燃焼を活発化させる成分を取り出すために品種改良して生まれた。当初はサプリ用に使用していたものの、新たに開発された別の成分をサプリに採用することになったため、ほかの利用法を模索。川崎市が進める、大企業が保有する開放特許を中小企業の新製品開発に活用する知的財産マッチングに参加したところ、フルーティーで香りがいいことから、料理や加工食品などで使えるのではないかとセレサ川崎農業協同組合(以下、セレサ)の協力のもと、川崎市内29軒の農家が栽培した。今回、収穫を迎えたことから、ハーブペッパーの新ブランドとしてお披露目した。

左から児島宏之・味の素専務執行役員、福田紀彦・川崎市長、原修一・セレサ川崎農業協同組合代表理事組合長

 19日に開いた発表記者会見で、味の素の児島宏之専務は「辛さが減っても、基礎代謝が向上する効果などは変わらない。通常の唐辛子は乾燥させて使うが、これは生でも食べられるフレッシュさとフルーティな香りが特徴的。このハーブペッパーの新しい魅力を、さまざまな商品やメニューに活かしてほしい」と話した。川崎市の福田紀彦市長は「川崎市生まれの〈香辛子〉を全国に広めていきたい」と意気込みを語り、セレサの原修一代表理事組合長は「通常の使い方のほか、生で刻んでサラダに混ぜたり、彩りの良さも楽しめるかき揚げなどにも合う。高付加価値製品として売れれば農家のためにもなる」と期待を寄せる。

 市内の居酒屋「鈴や 武蔵中原店」で8月24日から〈香辛子〉を使ったメニューを提供するほか、市内の食パン専門店や漬物店でも独自に開発したパンや水キムチを販売する。またセレサが運営する直売所「セレサモス」の2店舗(宮前店・麻生店)でも、40g(5~6個)税込160円で試験販売する予定だ。

 また8月30日には10時と14時の2回、飲食店と食品加工業者向けの試食マッチング会を「セレサモス・宮前店」(神奈川県川崎市宮前区宮崎2-1-4)で開催する。申し込み・問い合わせは、川崎市都市農業振興センター農業振興課(電話:044-860-2462、FAX:044-860-2464、メール:28nogyo@city.kawasaki.jp)で受け付ける。