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地元食材を地元店舗が消費する地産地消マッチングサービスの実証実験を会津若松で【凸版印刷】

2022年7月12日 2:03 pm

 凸版印刷は、農産物の生産者と飲食店や宿泊施設、介護施設など地域の顧客を専用アプリ上でつなぎ、生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム〈ジモノミッケ!〉を開発し、福島県会津若松市とその近隣地域で実証実験を始めた

 同実証実験は、一般社団法人AiCT(アイクト)コンソーシアム(福島・会津若松、海老原城一代表理事)による「食・農業ワーキンググループ」の活動の一環として行われるもので、農産物生産者30社と、飲食店、宿泊施設、介護施設、食品加工業者、小売店など30社が参加。生産者・顧客・地域が一体となった地産地消型の「食・農業」の実現を推進する。

 生産者の顔とこだわりが見える地元産の農産物は、差別化できる商品でありながら大都市への優先的な供給や一般消費者向け流通サービスの台頭により、地元への流通・供給量が年々減少している。また、地方の農産物流通では、いまだに電話やファクスなどが利用されているため、供給と需要を定量的に把握することが難しいという課題がある。

 そこで凸版印刷は、これらの課題を解決するために生産者と顧客をマッチングするオンラインプラットフォーム〈ジモノミッケ!〉を開発。地域内の供給・需要情報を可視化し、農産物流通を最適化する。

 具体的には、同プラットフォームで生産者は「供給(サプライ)情報」、顧客は「需要(デマンド)情報」を登録でき、「入札」や「落札」などマッチングの状況をリアルタイムで確認できる。マッチング後は、指定日時に専任の配達員が生産者の軒下で農産物を集荷し、AIルーティング機能で算出された最適なルートを通って納品。無線通信タグを貼付したコンテナでトレーサビリティ・温度管理ができる仕組みを導入した。

 また現在、生産者と顧客がそれぞれ入力したデータをもとに、最適な取引相手を自動的にマッチングする機能や、都市OS(都市のエネルギーや交通機関、医療、金融、通信、教育などのデータを集積・分析し、それらを活用するため自治体や企業、研究機関などが連携するためのプラットフォーム)を介したデジタル地域通貨との連携により、現金化までのタイムラグを解消し決済の可視化・最適化を図る機能などの開発も進めている。

 凸版印刷は、今回の実証実験を通じて2023年度の事業化を目指し、都市OSの導入地域を中心に〈ジモノミッケ!〉の水平展開を図り、30年度までに卸売市場など50拠点への導入と、「食農需給マッチングプラットフォーム」関連事業で10億円の売上を目指す。