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外食で3食摂って健康になるサービスを!【「外食インカレ2018」受賞プレゼン①】

2019年3月25日 5:27 pm

金賞を受賞した愛知大学3年グループと高岡慎一郎・JF会長

 日本フードサービス協会(JF)と日本フードサービス学会(JF学会)は昨年、大学・大学院生を対象とした初のビジネス・アイデアコンテスト「外食インカレ2018」(秋元巳智雄実行委員長)を開催した。

 次代の外食産業を担う若い世代に外食ビジネスを知って考えてもらい、外食業界の認知度向上と活性化につなげることが目的で、全国の大学から138件の応募があった。 髙岡慎一郎・JF会長、菊地唯夫・JF前会長、秋元実行委員長、根岸榮治・JF教育研修委員会委員長、谷澤公彦・JF教育研修委員会副委員長の5人が審査員を務め、1次・2次審査を通過した5大学6グループが最終審査でプレゼンテーションした。

 その結果、金賞に30万円、銀賞に20万円、銅賞に10万円、奨励賞(3グループ)にジェフグルメカード5万円分が授与された。 今回、審査員を唸らせる場面も多く見られた受賞者のプレゼン内容を、3回にわたって再録する。今回は、外食のマイナスイメージを払拭するために、外食のみで健康管理できる仕組みを提案し金賞を受賞した愛知大学3年グループの発表を取り上げる。(全3回掲載のシリーズの1回目)

金賞受賞 「社会インフラとしての外食産業 セルフケア外食―日本の国民の健康を管理する―」   愛知大学3年(長谷川公充子さん、梅田飛翔さん、高橋雅直さん)

 外食は多くの人からどう捉えられているか。健康面では、外食=不健康とのイメージを持たれる康面では、外食=不健康とのイメージを持たれることが多い。労働環境の面から見ても、大学生の就職したくないランキングで常に上位を占めるなど、ブラックな業界だと捉えられている。このように、外食産業には強烈なネガティブイメージが存在している。

 しかし本来、外食産業は社会インフラを形成する二つの要素「生活の一部」「どこにでもある」を備えている。外食は日本人の胃袋の20%を満たしており、飲食店の数は学校の105倍存在している。つまり、外食はすでに社会インフラとしての条件を備えている。ただ、社会インフラとしての役割を満たしているかと問われると、悪いイメージが先行している。

 今回、そうしたネガティブイメージを払拭すべく、外食による徹底したプロの健康管理「セルフケア外食」という仕組みを考えた。 日本の伝統的な1日の食事に含まれる22種の食材から726項目の栄養素を抽出し分析した結果、厚生労働省が定める食事摂取基準に含まれる33項目の栄養素のうち20%不足していることがわかった。

 こうした現象は実際に多く見られており、近年問題視されているカロリーは十分であるにも関わらず、栄養が不足する新型栄養失調につながっている。しかし、個人レベルで食材に含まれる栄養素を調べることは非常に困難で高度な専門性が必要となるため、その役割を外食産業が担うことを提案する。 では、本当に外食産業で栄養管理できるのかを見てみる。

 上図の外食メニューを例に、51種類の食材から2343項目の栄養素を抽出し分析した結果、パルメザンチーズを加えることで、33項目の栄養素をすべて満たせることがわかった。そこで、私たちは外食産業が国民の栄養素を管理するビジネスモデルを作成した。それは顧客が食事をした後に、栄養計算された次のメニューを提案する栄養管理アプリを開発し、無意識に栄養管理できる仕組みだ。

 これを実現するには、食事はすべて外食で取る必要がある。そこですべての食事を外食にした時の経済的負担を知るため、1食700円で計算したところ、月額3万9200円となり、単身世帯の月平均食費4万円と比べても変わらないという結果になった。

日本外食新聞2019年3月5日号掲載