他人が触れた箸はイヤーーコロナ禍で複数の人が触れる部分の衛生面を気にするお客さんが増える中、箸についてはヨコ型や引き出し型ケースだと中に手を入れて取る際にほかの箸に触れることになり、スタンド型だとむき出しになっているため、飛沫がかかる可能性もあり衛生的とは言えない。そのため、店舗によって使い捨ての割り箸を提供するなどで対応している。
オーダーメイドの袋・パッケージ商品やオリジナルグッズの制作を手掛けるエバーグローリー(東京・茅場町)の蔡洋社長は、従来のオペレーションはそのままに箸をより衛生的に提供できないかと考え、「安心&きれいスライド式箸ケース」を開発した。
これは、右下に1膳分の箸のみを取り出せる切り口を作り、そこから引いて箸を取り出せる箸ケース。これにより、他の箸にはほとんど触れずに箸を取り出せ、ケースに抗菌加工も施しているので、より衛生的で安心して利用できるという。また、従来から懸念されていた上にある箸ばかりが使われ、ケースの下にある箸がずっと使われないままになるということも防げる。
蔡社長は「この1膳分のみを下から取り出せるようにするため、ケース内部にカーブをつけたのだが、その最適な角度を見つけ出すことに苦労した。これにより、食洗器で洗って箸をセットしてからお客さんの手元に届くまで、飛沫がかかるなどの心配がなく、他のお客さんや店員が触れることもなく箸を提供できるようになった」と話し、実用新案も取得した。ケースのフタは、残量を確認できるように半透明となっており、調味料などを乗せられる強度となっている。
同時に、同ケースの仕様に合わせてスムーズに取り出せる形状とし、抗菌加工を施した箸も開発し、卸業者経由で20ケースから受注している。参考として「安心&きれいスライド式箸ケース」の小売価格が税別3600円、抗菌加工した箸50膳が同4000円のため、セットで購入すると7600円となる。ほかの箸でも利用可能だが、スムーズに取り出せないことがあるかもしれないという。現在、同商品の認知度向上のため、チェーン展開している企業を対象に、無償でケースと箸を提供するモニター店を募集しているという。
「安心&きれいスライド式箸ケース」:http://www.ever-glory.jp/chopsticks_case.html