コロナ禍で環境が激変した2020年、「GoToEat」キャンペーンによる消費刺激などもあったが、やはり常連客獲得が重要であることが、データ上でも明らかとなった。
飲食店の予約・顧客管理システムを開発・提供しているTableCheck(テーブルチェック)が、予約・顧客管理システム「TableCheck」に蓄積されたデータなどをもとにまとめた「TableCheckデータ大全リリース2020-2021」では、緊急事態宣言時に常連客が飲食店を下支えした実態が明らかになるとともに、今後は「ハレの日」需要が高まるとの見通しを示した。
同リリースはコロナ禍で環境が激変した2020年を振り返るとともに、2021年の業界動向を予測したもの。直近の12月の状況(12月20日時点)を見ると、1店舗あたりの来店件数は第1週では落ちたものの第2、3週で少し回復した。一方、来店人数を見ると昨年対比で半分超となっており、同社では1組当たりの人数が上がらない状況が続いているとした。
今年の特徴としては、緊急事態宣言が出された4、5月にリピーターの占める割合が大幅に上昇したことが挙げられる。
4月は常連客(来店5回以上)の占める割合が前年の5%から13%と2.6倍となり、常連予備軍(来店2~4回)も14%から18%と1.3倍となったことから、合計で前年の19%から31%に上昇した。5月も常連客が5%から10%に、常連予備軍が15%から19%に伸び、合計すると20%から29%となった。その他の月を見てもリピーター客の占める割合が、「GoToEat」の影響があった10、11月を除き昨年よりも高いことから、同社は「常連客獲得の重要性が今まで以上に重要視されるだろう」との見解を示した。
また、利用目的別の来店件数を見ると、記念日(前年比116.3%)、デート(同114.2%)、家族会食(同107.9%)が前年を上回った一方、知人会食(同88.6%)、社内会食(同72.5%)、接待(同70.1%)、歓送迎会(同69.7%)で前年割れとなり、最も落ち込みが大きかったのは忘年会(60.9%)という結果となった。これは「抑圧された『外食欲』がプライベートに集中したと推測できる」として、同社は今後も、1回の食事を贅沢に楽しみたいという「ハレの日」需要は高まると予想している。
コロナ禍の3~11月の間で、曜日別に 1 店舗当たりの来店件数の平均値を前年と比較すると、もっとも回復したのは土曜日で前年比82.3%となった。対して、水曜日は同69.5%と7割を切る結果となった。これはリモートワーク促進により、平日のランチや接待などビジネス関連の需要が減少した結果で、特に水曜日は一度も前年を超えることなく推移。同社は「大型連休など、祝祭日の恩恵を受けにくい水曜日や木曜日は、ビジネス需要の落ち込みが如実に表れた。テレワークの継続意向が8割を超えるとの結果もあることから、週末、祝祭日をターゲットにした販売戦略の拡充が求められる」としている。
同社のシステム利用店舗の中には、 SNS 活用でテイクアウト販売を20%増加させたり、半年分の予約席を約 1 カ月で完売させるなど、好事例も頻出しているという。そこで、同社は全体のまとめとして、SNS を利用するなど消費者にタイムリーでダイレクトに情報発信し、つながりを持つことで「ブランディング力」「情報発信力」「リピーターの獲得」を高めることが重要になるとの見通しを示した。