11月22日にオープンした新生渋谷パルコの地下1階には、「カオス」をテーマにして集められた多種多様な飲食店が軒を連ね、独特な雰囲気を作り上げている。その中に、AIが味覚を判定し、その嗜好に合った日本酒とおつまみをレコメンドする新スタイルのバー「未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」がオープンした。
同店は、10種の日本酒をブラインドでテイスティングして、好き嫌いを入力するとAIがその人の味覚に合った日本酒を提案する「YUMMY SAKE(ヤミー サケ)」を楽しめるショップ「未来日本酒店」を3店舗展開する未来酒店と、日本酒〈久保田〉を醸造する朝日酒造が初コラボした店舗。
「YUMMY SAKE」は、都内ではあまり見かけない全国の希少な日本酒を数多く揃える未来酒店と、博報堂アイ・スタジオが協力して、本当にその人に合った日本酒を選べる仕組みを構築するため開発したものだ。
日本酒の銘柄、価格、製品特徴などを事前に伝えた場合と伝えない場合でどれだけ味覚の評価に差が生じるかを101人に調査したところ、6割以上が知識を得てから飲んだ方を高く評価したことから、情報によって味の感じ方が左右されることが分かった。そこから「PROJECT YUMMY」を発足し、10杯の少量の日本酒をブラインドでテイスティングしながらスマホの画面に好き嫌いを5段階で入力すると、AIが「アワアワ」「ショワショワ」「キュンキュン」など12のオノマトぺ(擬音語)の中から、その人がどのオノマトペタイプの日本酒を好むかを診断する。オノマトぺを採用したのは、甘口・辛口やフルーティ・すっきりなど、これまでよく使われている表現による固定観念の影響を受けないようにするためだ。
今回は朝日酒造とコラボすることで〈久保田〉の新しい楽しみ方を体験してほしいと、通常の日本酒とともに、5種の〈久保田〉と7種の〈久保田〉を使ったオリジナルカクテルの中から、それぞれのタイプに合ったものをレコメンドする。
判定するには、「テイスティング キット」2000円(ドリンク1杯付、税別・以下同)を注文し、スマートフォン専用の会員サービスにアクセスする。画面の指示に従って10種の日本酒をテイスティングしながら好き嫌いを5段階で入力すると、AIが12種類からどの味覚かを判定。そのタイプにあう日本酒とペアリングフードを表示する。その後、1杯注文できるので、レコメンドされたお酒でも別のお酒でも楽しめる。判定結果は、その時々の気分や体調でも変わるという。
もちろん、AI判定をしない通常のBARとしても楽しめる。「未来日本酒店」のオリジナル日本酒や希少な蔵元の日本酒など約100種と〈久保田〉各種を用意。ペアリングフードとして、〈ひじき卵サラダ〉500円や〈エビトマチリミント〉700円、〈焼きおにぎりカレー〉500円など、それぞれのタイプに合う少し変わったメニューなどを揃えた。13坪・25席で、うちスタンドが17席となっている。
未来酒店の寺田祐貴取締役は「これまでは物販をメインとしていたが、同店では飲食をメインとした。自分の味覚に合う珍しい日本酒を見つけたり、新しい日本酒の楽しみ方を発見してほしい」と話す。