「ＯＮＤ」は、中目黒駅から徒歩４分の目黒銀座商店街に建てられた新築の飲食店ビル４階にあり、看板も設置せず隠れ家的な雰囲気を持たせた創作料理のレストランだ。メニューはおまかせコースのみで、予約時にアレルギーの有無や好み、アルコールかノンアルコールかなどを聞いた上で、サンメレの創業時から携わってきたシェフの和知良介氏が、和洋中などのジャンルにこだわらない11～12品のコースを作る。
席には、「48℃ 茸」、「70℃ のどぐろ」、「-15℃ 生姜」など素材の名前と温度のみが表記されたメニューが置かれ、料理を出す際にシェフがストーリーを説明しながらもてなす。
ドリンクはソムリエが選んだワインや日本酒を中心に、それぞれの料理に合うもの一品ごとに用意。現在、コエドビールとオリジナルビールも開発中だ。また、ノンアルコールの場合はお茶を基本として、同じく一品ごとに異なるものを提供する。そのため、隣の席の人とは違うメニューになることもあるという。
穴子と里芋を使った独自の〈フィッシュ＆チップス〉
多治見社長は「注文を取ったり会計する業務がないため、調理とサービスのみに集中できる。料理は１℃違うだけで味が変わる。炭台と低温調理機３台、急速冷凍庫を設置し、温度にこだわった料理を提供する」と話す。
14坪・13席の店内の内装は、黒川紀章氏の甥にあたる黒川彰氏がデザイン。シェフの顔が見えて調理の工程を楽しめ、空腹感や満足度に応じて、料理量の足し引きもできるよう、店内はキッチンと客席を共用する長テーブル１台のみとし、そのテーブル上でお客さんに向かって調理する割烹のような形とした。
〈茶がらモヒート〉
メニューはその日の仕入れによって変わるものの、穴子と里芋を使った通常のイメージとは全く異なる独自の〈フィッシュ＆チップス〉を定番の一品として入れる。また、メニューの最初に、かつおの一番出汁だったりコンソメだったり、その時々で変わる澄汁を提供して胃を温める。年内は１日最大５人×２回転とし、来年以降は最大13人×２回転とする。客単価は１万2000円を想定する。
