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グリストラップ清掃頻度は「週に数回」が約4割で最多! 「月1回」以下も約1割に【アイエスジー調べ】

2025年5月9日 8:45 am

 飲食店での異物混入などが大きな話題となる中、厨房のグリストラップ清掃事業を手掛けるアイエスジー(千葉・船橋、中田健志社長)が実施した「飲食店のグリストラップ清掃の実態調査」によると、「グリストラップ清掃の頻度」では「週に数回」が37.0%で最多となり、「週に1回」(27.0%)、「毎日」(17.8%)と続き、「月に1回以下」という回答も9.6%あった。同調査は4月3~7日にインターネットで実施され、飲食店経営者940人から回答を得た。

 「グリストラップ清掃で困っていること」では、「汚れがひどく作業に時間がかかる」(38.4%)「清掃担当者の負担が大きい」(27.5%)」「廃棄物の処理方法がわからない」(26.8%)が上位3位だった。

 グリストラップ内で、網かごによって分離された生ゴミ等の廃棄物は「一般廃棄物」として処理する一方、それ以外の廃棄物(油・汚泥など)は「産業廃棄物」に該当し、不適切に処理した場合は法令違反になる。
 この「法令違反について知っているか」の質問では、「知っている」(50.2%)「なんとなく知っているが詳細は知らない」(42.9%)「知らなかった」(6.9%)という結果となり、約半数が法令を正確に理解している一方で、残る半数は「曖昧な認識」または「まったく知らない」という状態であることが明らかになった。

 続いて「知っている」の回答者を対象に、「産業廃棄物処理のマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行しているか」尋ねたところ、76.1%が「発行している」と回答。さらに、不適切な処理が法令違反になることを「知らない」と回答した人と、「マニフェストを発行していない」と回答した人に、「専門業者に委託する場合、産業廃棄物処理の『マニフェスト(紙または電子)』を授受していないと法令違反になること(紙の場合は5年間の保管義務あり)を知っているか」を聞いたところ、「知っている」(14.8%)「なんとなく知っているが詳細は知らない」(63.3%)「知らなかった(21.9%)」という結果になった。

 同社は「この結果、法令違反リスクについて『正しく理解している』人は約1割にとどまり、書類が発行されていても、それが『なぜ必要か』『何を証明するのか』が理解されていない構図がうかがえる」とした。

 「グリストラップの適切な清掃や廃棄物処理を怠った場合のリスク」についての質問では、「排水管がつまり、水漏れや逆流の原因になる」(47.3%)「悪臭が発生し、店内や周辺環境に影響を与える」(46.1%)「店舗の衛生状態が悪化し、食中毒のリスクが高まる」(36.9%)という結果になった。

 同社は「物理的・衛生的なトラブルへの意識は高く持たれている一方、『行政指導』など制度・構造的なリスクへの認識は低い傾向にある。清掃の結果には敏感でも、『対応の根拠』や『長期的損失』への理解は浸透していないと考えられ、リスクの全体像を伝える教育機会の整備が今後の課題となる」との見解を示した。

 その上で、「『自店で理解し、適切に運用する』ための清掃マニュアルの提供、マニフェスト発行・保管の簡素化、制度知識の診断ツールといった支援体制が不可欠であり、専門業者に委託することで法令遵守、清掃作業の負担軽減、清掃品質の向上、リスク回避などさまざまなメリットが期待できる」とした。