飲食店の空き時間に、別の事業者にキッチンを貸し出すサービス「よじげんスペース」を運営するよじげん(東京・新宿、荒木賢二郎社長)は、レストランの空き時間にホールのみをワークスペースとして貸し出す新たなサービス「selfwork(セルフワーク)」を9月から始める。
荒木社長は「キッチンを使わないため食中毒リスクはゼロ。ホールを貸し出し中でもキッチンでは仕込みができ、ランチ営業のように人手を確保しなくても収入を得られるサービスだ」と話す。
米国・ニューヨークでは営業時間外のレストランをワークスペースとして貸し出すサービスに7社が参入しており、すでに1つの市場が出来上がっているという荒木社長は「よじげんスペース」を運営する中で、①広いホールを誰も使っていない②食中毒を気にして使わせてくれない③昼も仕込み時間として使うため貸せない――という課題に気づき、その解決策として今回のサービスを立ち上げた。
飲食店がホールを貸し出す場合、selfwork(よじげん)直営、自社直営、既存のカフェなどとの併用運営の3パターンがある。selfwork直営は立地や席数などの条件は厳しいものの、店舗側にとっては、スタッフや、カギ、監視カメラ、Wi-Fi、電源コード、看板、ウォーターサーバーなどの機材設置、保険などの初期費用や運営費用は一切かからず、店舗利用料として売上の一部と光熱費が店に支払われる。一方、自社運営の場合は、スタッフを自前で用意し、機材の設置費用などで10~15万円かかるが、売上の分配比率は高くなる。併用運営の場合、新たに必要となる機材などはよじげんが提供し、同サービスに伴う追加費用はかからない仕組みだ。立地や設備、カギなどの審査とチェックが通れば約2週間で開始できる。
利用者側からすると、出先での時間調整の仕事などでカフェを利用しようとしても満席だったりWi-Fiが使えなかったりという経験を持つ人が多く、ニーズは高いと見ている。利用者は月額制で個人プランと法人プランを設けた。個人プランには1カ月、3カ月、年間の3種を用意したほか、1日1000円でドロップイン利用もできる。
まず、9月2日に東京・渋谷の道玄坂上にselfwork直営の0号店「selfwork渋谷AJITO WONDER DINING店」(30席)をオープンする。年内にselfwork直営と併用運営で4店舗を計画し、来年には独立したホストに運営委託するパターンも始めて100店舗を目指す。