予約・顧客管理システムの開発・運営などを手掛けるTableCheck(東京・銀座、谷口優社長)が、飲食店に勤務する20~50代の全国の男女1022人に、訪日外国人客の来店頻度を尋ねたところ、「ほぼ毎日」来店すると回答した人の割合は33.4%となり、コロナ前の15.9%から約2倍の割合にまで増加していることが分かった。
「ほぼ毎日」「週2~3回」「週1回」と回答した、訪日客の来店が高頻度といえる店の割合はコロナ前の38.6%から54.1%となり、15.5ポイント増加している。「まったく来店しない」と回答した人の割合は約1割のみで、ほとんどの飲食店で日常的に訪日客が来店していることが分かる。
■主要8都道府県では東京、京都が来店頻度トップ2。大阪は最下位
主要な8都道府県別で見ると、「ほぼ毎日」と回答した人の割合が最も高かったのは、京都府の44.4%だった。「ほぼ毎日」から「週1回」までの高頻度層の割合が高かったのは、東京、京都、神奈川の順で上位3位を占めた。
一方、高頻度層が最も少なかったのは大阪だった。同社は「人気のテーマパークがあったり、2025年には大阪万博を控えていたりなど、訪日客からの関心も高く、訪日客訪問率では東京に次いで第2位であるものの、京都などの周辺エリアに流出している可能性が高いと考えられる。日本で外食を楽しみたいという訪日客に対して、大阪独自の外食文化を効果的に情報発信することで、さらに訪日客を取り込んでいける余地が大いに残されているといえる」と分析する。
■インバウンド対策は 7割以上の飲食店が「未実施」
飲食店の訪日客対策の実施状況について尋ねたところ、「何もしていない」「対策をやめた」に加え、「準備中」「検討中」「検討予定」を合わせると、現状でインバウンド対策を実施していない飲食店の割合は72.8%にまでのぼった。
一方で、インバウンド対策を実施していて「すでに効果を感じている」と回答したのは、コロナ前の調査からわずか5ポイント上昇した21.0%にとどまり、対策が進んでいない現状となった。
なお、「訪日客の客単価は日本人客と比べてどう思うか」については、「かなり高い」が12.0%、「少し高い」が22.6%と、34.6%の人が「訪日客の客単価の高さ」を実感している。訪日客を取り込むことで売上増につながりそうだ。
■訪日客集客で効果のあったツールは「Instagram」と「Googleマップ」
訪日客の集客で最も効果のあったツールを尋ねたところ、1位「Instagram」31.2%、2位「Googleマップ」27.5%となり、コロナ下で進んだ両社の飲食店検索・予約機能強化が影響した。
いずれもほぼ全世界に膨大なユーザーを擁しており、レビューなどの投稿件数、店舗情報などの情報量が他サービスを圧倒している。特に英語圏のユーザーに対する情報発信、予約獲得は有効な2大ツールとして飲食店の間に定着しているようだ。
■効果のあった対策は「言語対応」「カード決済」に次いで「Wi-Fi導入」も
訪日客を迎える上で感じている課題で、最も多かったのは言語対応関連だった。「接客」「電話対応」「問い合わせ対応」「ネット予約の多言語対応」の上位4つが言語に関する課題だった。
インバウンド対策を実施している飲食店に効果があった対策方法を尋ねた。最も効果があったのは、「写真付きの外国語メニューを用意」30.6%することだった。課題のトップだった「外国語での接客」に呼応した結果だといえる。
2位には「クレジットカード決済対応」24.7%が入り、訪日客からのニーズは特に高いことがうかがえる。「Wi-Fi導入」17.6%が3位に入っているのは、ゲストのスマートフォンの通信環境をよくすることで、言語にも会計にもスムーズに対応できるようになることから上位にランクインしたと考えられる。
この調査は、2023年10月27日~30日、飲食店に勤務する20~50代の全国の男女1022人に実施された。