飲食店向けアプリの開発・運営を手掛けるOTENTO(大阪・本町、鳥居本敦士社長)は、お客さんがアプリを通して飲食店のスタッフにエールやメッセージ、チップを送ることができ、その内容を人事評価に反映できるサービス〈OTENTO(オテント)〉(https://otento.jp/)の提供を始めた。
同サービスは、来店したお客さんがスタッフの接客を評価し、接客充実度を可視化することを目的に開発されたもの。お客さんが店内のQRコードを読み取ると出勤中のホールスタッフを一覧表で確認でき、担当スタッフの接客に満足したり応援したいと思った時には「エール」という好評価を投稿したり、感謝や応援メッセージを贈ったりできる。
同サービスで特徴的なのが、これらお客さんから送られたメッセージ内容や好評価の数に応じてAIがスタッフを採点し、スタッフの評価を可視化する点にある。チェーン店の場合は店舗だけでなく社内でのランキングも作成でき、統合的な人事評価や表彰制度に役立てられる。
また、お客さんが100〜1万円の範囲で寄付をしてスタッフを支援できる「ギフティング」機能も搭載。寄付額に応じて店舗からクーポンを配布することで再来店を促すとともに、直接的にスタッフを応援しやすい仕組みとした。「ギフティング」は、「Apple Pay」や「Google Pay」のほかJCBやVisa、Mastercardなどのクレジットカードから寄付でき、今後QRコード決済にも対応する予定。決済手数料は寄付者が負担する仕組みで、同社が決済時に10%を差し引く。また、同サービスは寄附契約となるため消費税はかからない。
飲食店が導入する際は初期費用や月額固定費はなく、寄付された金額の30%をシステム手数料として差し引き、残り70%を店舗側に還元。月間の流通額が1万円未満の場合は同社が振り込み手数料は負担し、1万円以上の場合は企業側が振込手数料を支払う仕組みとなっている。
また、管理画面では店舗やスタッフ、バックヤードなど寄付金の分配先とそれぞれの分配率を設定できるので、還元された寄付金を誰にいくら渡すかを計算する手間も省ける。
本サービス開始前の約半年間営業したところ、上場企業を含む2000店舗以上ですでに導入予定となっている。テスト導入した店舗からは「積極的にお客様と会話するようになり、丁寧な対応を心掛けるようになった」「スタッフが今まで以上に高い意識で仕事に取り組んでくれるようになった」などの意見が寄せられ、紹介などを通して導入店舗が拡大中だという。
鳥居本敦士社長は「前職の大手総合人材サービスで働いていた時に、10年頑張って働いても時給が100〜200円しか上がらない派遣スタッフを見て歯痒い思いをした。アルバイトや非正規労働者が適正に評価されずキャリアアップにも繋がらないため、退職するケースを多く見て来た。『善いことも悪いこともお天道様はみている』という想いや正義、モラルを呼び起こし、日本の国力を上げる一助になりたいという思いをサービス名に込めた」とコメントしている。
今後は飲食店に限らず、タクシー業界や医療・介護などでの導入も進行中で、業界を問わずに展開して行く予定だ。