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メニュー表記のタイプで好感度が変わる!【「外食インカレ2018」受賞プレゼン③】

2019年3月25日 6:29 pm

銅賞を受賞した東洋大学3年グループと根岸榮治・JF教育研修委員会委員長

 日本フードサービス協会(JF)と日本フードサービス学会(JF学会)が昨年、大学・大学院生を対象として開催した初のビジネス・アイデアコンテスト「外食インカレ2018」(秋元巳智雄実行委員長)受賞者のプレゼン内容紹介の最後は、メニュー表の表記の仕方を情報提供、感覚訴求、満足訴求、推奨の4タイプに分類し、一人客、ファミリー客、リピーター別に、どのタイプが好感度や注文誘発に効果的かを調査・分析し、銅賞を受賞した東洋大学3年グループのプレゼンを再録する(最終回)。

銅賞受賞 「外食メニューのタイプ分類と好感度効果・注文誘発効果」   東洋大学3年(須郷桃華さん、知久綾音さん、柏木美咲さん)

 私たちは外食メニューのタイプ分類と好感度効果・注文誘発効果について研究した。外食チェーンのメニューにはさまざまなパターンがあり、印象が異なるように感じる。メニュー名に惹かれてオーダーしてみたり、逆に止めてしまうこともある。マーケティング理論では、プロダクト(製品)は、コア(コンテンツ)、パッケージ、ネーミングから成り立つとされており、ネーミングは重要な要素となっている。

 そこで私たちは、外食メニューを①産地や食材などの情報を客観的に伝える情報提供型②「サクサク、パリパリ」など感覚に訴える感覚訴求型③「やみつき~」など満足感に訴える満足訴求型④「お店のイチオシ」など単刀直入に推奨する推奨型――の四つに分類した。

 この四つのタイプのメニューが与える影響について、常連と初来店客でのウケ方の違いや、「急いで1人で昼食する」人と「家族での夕食会」で適しているタイプが異なるのではということをテーマに設定。どのタイプのメニューがどういう状況の人に好まれるか、好感度と注文行動を分析し、効果的な「メニューの型」について示唆を得たいと考えた。

 まず準備として外食チェーン店を巡り、からあげ、ハンバーグ、ラーメン、チョコレートパフェを中心に約300種類のメニューをタイプ分けした結果、「名称だけ」が約50%、「情報提供型」が約30%、「感覚訴求型」が約10%、「満足訴求型」と「推奨型」が約5%という結果になった。

 続いて、和・洋・中・デザートでそれぞれ4タイプのメニューを自作して、大学生153人、社会人82人にアンケート調査を実施。調査する際には、あらかじめ好き嫌いを尋ね、それを差し引きながら、メニューが与える好感度と注文意向を調べた。調査票で設定したメニュー名は左図の通り。

 その結果、過去1年間で11回以上同じメニューを注文したリピーターへの好感度を見ると、満足訴求型と推奨型は危険であり、情報提供型が無難であることがわかった。  注文誘発効果を見ると、「1人で急いで昼食を食べる」人には、推奨型が有望なケースが見られた。これは選ぶ手間を省くためと推測できる。「家族や友人と夕食会」では、満足訴求型が有望だった。これは、メニューを見て楽しみながら注文するためと思われる。全体的に、情報提供型は、好感度にプラスの効果を得ることが難しいことも分かった。

 結果をまとめると、常連客を育てたい店には、情報提供型が無難で、観光地など初来店客が多い店では満足訴求型や推奨型が有効である。  そこで私たちは、ランチメニューは推奨型を、ディナーメニューは満足訴求型を多用し、ディナータイムのグループ席にのみ満足訴求型を置くというメニューの使い分けを提案する。

 一方で最近増えている感覚訴求型は、好感度が下がり注文誘発効果も小さかった。これは、カリカリ、サクサクなどの表現がマンネリ化したからではないかと思われるため、新鮮で斬新なオノマトペネームを作るコンテストを開催するなど、新し日本外食新聞2019年2月15日号掲載い可能性が広がっているのではと考える。

日本外食新聞2019年3月25日号掲載