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ハラル認証だけがすべてじゃないぞ!? ムスリム対応って思っていたより簡単かも!!(後編)

2019年7月24日 6:28 pm

お店で使っている輸入肉も実はハラル肉かも!

 ハラル認証がなくてもムスリム向けのメニューを提供できるとしても、では実際にどうすればよいのか。

意外と知られていないが、豚由来の成分を使った製品は多い

 ニチレイフーズやキユーピー、マルハニチロなどの食品メーカーや一蘭、ロイヤルホールディングス、壱番屋などの外食企業をはじめ、数多くの企業・団体向けにハラルビジネス(ムスリム向けマーケット)のコンサルティングを手掛け、飲食店や外食関係者向けの勉強会なども多数開催しているハラル・ジャパン協会の佐久間朋宏代表理事は「ノーポーク・ノーアルコールと分かるピクトグラムを使ったり、写真と英語で説明することから始めるのが良い」と話す。

 日本人が経営する非ムスリムの飲食店では、前回の「スナリ」のように自己申告しただけでは当然信用されることはない。そのため、どういう食材を使ったメニューで、調理の際にもハラーム(禁じられているもの)となる油や調味料、アルコールなどは使っていないことを提示し安心してもらうことが重要となる。

ハラル・ジャパン協会の佐久間朋宏代表理事

 佐久間さんによると、日本に住んでいるムスリムは自国にも存在しているパンやマヨネーズ、ケチャップ、砂糖などについてはハラルかどうかをあまり気にしないという。一方、気を付けるべきなのは、自国に存在しない調味料や料理だ。何が入っているのか、どういうふうに調理されたのか想像がつかないため、成分表示まで見ないと判断できず、手を出せない。特に日本特有の調味料や和食に対しては疑うことが多くなる。

 一方、主に中東などでは、甘く高カロリーな食べ物が多く、あまり運動もしないことから肥満の人が多く寿命も短いため、富裕層の間などで、ヘルシーで長寿命のイメージがある和食への関心が増しているそうだ。佐久間さんは「これは日本の飲食店にとっては大きなビジネスチャンス」と話す。
 日本特有の調味料に関しては、すでにハラル認証を取得している醤油や味噌、わさびなどが販売されているため、それらを使っていることを示せば問題ない。肉に関しては国産を使うのが最も喜ばれるだろうが、安く手に入れるなら、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)での恩恵も期待できるオーストラリアのハラルビーフ、タイやブラジルのハラルチキン(モモ・ムネなど)、ニュージーランドのラムやマトンなどがある。「実はすでに多くの飲食店が輸入しているこれらの肉にハラル認証マークが付いている場合が多い。ただ店の人はそれに気づいていないだけ」(佐久間さん)だという。

 余談となるが、ハラル認証がなく特にハラル向けに成分表示などもしていないにもかかわらず、なぜか菓子の〈キットカット抹茶味〉や〈東京ばな奈〉などは、ムスリムのお土産として人気が高いのだそうだ。

 また外食だけでなく中食でも、ムスリムを取り込もうとの動きが見え始めた。コンビニのセブンイレブンは、ハラルビジネスの検証に乗り出した。テストマーケティングとして現在、ロイヤルグループのロイヤルが製造したハラル認証済の冷凍弁当〈バターチキンカレー〉と〈牛丼〉を東京・浅草と大塚の2店舗で販売している。浅草雷門前店は観光客の、豊島大塚3丁目店は在日ムスリムの反応を見るために選ばれた。ハラル専用の冷凍庫を使っていなくてもムスリムに受け入れらるかどうかなどを検証した上で、販売を拡大するかどうかを決める。

 佐久間さんは「寿司や天ぷらなどの伝統的な和食だけでなく、ハラル対応した唐揚げやたこ焼き、コロッケ、餃子、肉じゃがなどを提供すれば、ムスリム需要をつかむチャンスとなるかもしれない。ハラルはムスリム〝だけが〟食べるものではなく、ムスリム〝にも〟ほかの外国人や日本人にとってもヘルシーな食べ物であることを示すもので、ベジタリアンとの親和性も高い。大阪万博が開催される2022年をめどに国の外国人対応の支援も終わる可能性があるため、それまでにハラルを含めた外国人対策をしっかりとしておくことが得策だ」とアドバイスする。

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