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サブリース契約への変更で賃貸の保証金と敷金を即現金化【テンポスフィナンシャルトラスト】

2021年7月2日 8:46 am

 コロナ禍により、飲食店にとってはキャッシュフローの重要度が増しており、長引く休業や時短営業の要請により、今すぐにでも運転資金が欲しいという飲食店も増えている。

 飲食店の開業・経営を支援する事業を展開するテンポスホールディングスの子会社テンポスフィナンシャルトラスト(FT)は、同社が店舗の大家と賃貸契約し、同社から店舗に貸し出す契約に変更することで、物件を借りる際に支払った保証金と敷金を即返却し、内装工事費用と厨房設備も同社が買い取ることで、営業を続けながらすぐに資金調達できる「安心パック」の販売を始めた

 コロナ禍により資産はあっても手元の資金不足で苦しむ飲食店が増えたことを目の当たりにしたことから、飲食店が営業を続けながら不動産と償却資産を元に資金を入手できる仕組みを考案。物件はテンポスFTがサブリースし、内装工事や設備の未償却残高分もテンポスFTが買い取り、分割払いでリースする形に変更する。

 これにより、自由に使える運転資金がすぐに手元に入ることに加え、賃借対照表での固定資産が流動資産に変わるため財務体質が改善する。

 サブリースの利率は一般的には10%以上の所が多いところを2~7%に抑える。その代わり、新たに出店する場合は、その店舗の厨房機器をテンポスから購入またはリースすることが条件となり、その出店計画によって利率を決めるという。もし計画通りに出店できなかった場合は、別途手数料を支払う。

 償却資産については、内装工事や設備のリース料にテンポスFTへの手数料として1%台の利率を加え、残りの減価償却分が回収されるまでを最初の契約期間とする。減価償却を定率法にしていた場合は、定額返済になるため償却(契約)期間は短くなるという。その後、契約は自動更新となるが、償却が終わっているためリース料は安くなる仕組みだ。

 森下和光社長は、「家を売却した後もこれまで通り同じ家に暮らしながら、資金も得られるリースバックのCMを見て、コロナ禍で資金繰りが大変な飲食店が、営業を続けながら運転資金を得られるのではと思いついた」という。

 テンポスFTにとって、賃貸とリースの手数料を合わせても数%なので利益は薄いものの、新たな出店時の設備購入を一手に引き受け囲い込みできる点がメリットとなる。飲食店にとっては、営業を続けながら手元に資金を得られ、財務状況を改善できることとなる。