飲食店向け予約管理システム「ebica」などを運営するエビソル(東京・渋谷、田中宏彰社長)は、新型コロナウイルス感染の拡大防止策に影響を受けている飲食店の現状の周知を目的に、同社の「ebica」およびオンラインサイトの予約・在庫を一元管理するサービス「グルメサイトコントローラー」を利用している全国約4000店舗を対象に調査を行い、前年対比の予約状況を週次で公開している(公開は一定期間)。
今回は、39県で緊急事態宣言が解除されてから初の週末を含む5月11日〜17日の最新データが新たに公開された。
【調査まとめ】
・予約件数の対前年増減率は、全国で▲85%(前週比+3ポイント)、東京で▲93%(前週比±0%)、大阪で▲92%(前週比+1ポイント)、緊急事態宣言解除の39県で▲70%(前週比+12ポイント)。数値のばらつきには緊急事態宣言解除が影響したと推測
・(一社)日本フードサービス協会が策定したガイドラインに関するアンケートでは、85%以上が「席を1メートル以上離す」ことを、50%以上が「座席を横並びで配置」することを対応するなど、店内レイアウトにおいて多くの飲食店が工夫を行っている結果に
・一方で、「席同士を仕切るアクリル板の設置」は約90%がすぐには対応できないと回答
・感染防止策と営業を両立するために求めるサポートには「席数を減らすことによる補償の充実」などを求める声が多数
■エビソル飲食店予約推移・全国:対前年増減比▲85%(前週比+3ポイント)
5月14日付で、全47都道府県のうち東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、北海道の8の都道府県を除く39県で、緊急事態宣言が解除された。
緊急事態宣言解除後初の週末を迎えた今回は、全国では前週(5/3〜5/10)に引き続き回復の兆しを見せており、対前週増減率+3%の回復となった。しかし、対前年増減率では▲85%と、新型コロナ拡大以前と全く異なる環境は変わっておらず、依然として非常に厳しい状況であることが見受けられる。
■エビソル飲食店予約推移・大阪:対前年増減比▲92%(前週比+1ポイント)
引き続き緊急事態宣言の対象となっている大阪府は、府独自のマニュアル「大阪モデル」で解除の目安としていた基準を7日連続で満たしたことを受け、5月16日午前0時より、居酒屋を含む飲食店の営業時間を22時まで、酒類の提供を21時までと段階的に解除した。
しかし、飲食店の予約数は対前週増減率+1%と現時点では大きな動きはなく、今週以降の動きを注視する必要がある。
緊急事態宣言が解除された39県においては、宣言解除の影響を受け予約数が微増し、対前週増減率では+12%と、最も回復の動きが見られた。しかし、対前年増減率は▲70%と通常運転には程遠く、経済の正常化にはまだ多くの時間を要することが伺える。
■政府及び日本フードサービスの指針に関する全国のアンケート調査結果(速報値)
段階的な経済活動の再開に向けて、(一社)日本フードサービス協会(JF)は5月14日、事業継続のためのガイドラインを公表した。エビソルは、「ebica」および「グルメサイトコントローラー」を利用している全国の飲食店を対象に独自アンケートを実施した(有効回答数=51)。
JFが発表したガイドラインについて対応の可否を聞くと、「席を1メートル以上離す」では86.3%、「座席を横並びで配置」では52.9%がそれぞれ対応済みと回答するなど、概ね対応に向けた姿勢を示す結果となった。
一方で、「席同士を仕切るアクリル版の設置」では88.2%、「行列防止のための整理券の発行」では76.5%が対応できないと回答するなど、備品や人件費を要する部分については、対応が難しいという飲食店が多い。
また、「ガイドラインの内容は店内のクラスター感染防止策として十分と思うか」については、全体の94.1%が十分だと思うと回答した一方で、そのうち72.9%となる35店舗は「十分ではあるが実施が現実的ではない」と回答。
さらに、「感染防止策と営業を両立するにあたりどのようなサポートが必要か」では、「座席数を減らしたことによる補償」、「席を5割程度減らしての営業となる為、税金や家賃固定費などの補償などが必要」など、感染防止策の対応によって制限される営業活動への補償を求める声が見られた。
今後さらなる地域での緊急事態宣言解除や、段階的な経済活動の再開が進むと予想される一方で、外食産業の回復には多くの課題が伺える。
関連リンク:
外食業の事業継続のためのガイドライン(日本フードサービス協会)
http://www.jfnet.or.jp/contents/_files/safety/FSguidelineA4_20514.pdf