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納品伝票を公開すると卸業者や生産者が見積もり提案! コスト削減や特産品導入に効果も【クロスマート】

2019年10月1日 10:10 am

 新しい取引先店舗を開拓したい卸業者と、仕入先の見直しや仕入コストの削減を目指す飲食店をつなぐプラットフォーム「クロススマート」を運営するクロスマート(東京・八重洲、寺田佳史社長)は、10月から高知・四万十町(四万十町スマート定住対策協議会)と連携し、同町の農林水産物の生産者らが、「クロスマート」上の飲食店の納品データを閲覧し、商品や見積もりを全国の飲食店へ直接提案できるサービスを始める。地方自治体と連携し、地域の生産者と卸売業者の活性化を目的とした新たな取り組みの第1弾となる。

 「クロスマート」は4月から提供を始めたサービスで、飲食店は納品伝票を撮影してクロスマートに公開することで、利用料0円で会員の卸業者から見積もり提案を受けることできる。これにより1店舗につき複数の卸業者から提案を受けるなどの効果があり、事前のテストでは仕入価格が平均5%下がった。一方、卸業者は月額利用料を支払うことで、納品データを閲覧して見積もりを提案できる。

 四万十町との新たな取り組みは、農林水産省の交付金を活用して全国13のモデル地区で進めてられている実証活動の一環で、サービス利用料は1年に限り協議会が負担し、生産者や卸業者の費用負担はない。「クロスマート」は、仕入先の見直しを検討している飲食店の納品データを大量に保有しており、生産者らは飲食店の仕入情報(品名、数量、金額など)から効率的に潜在顧客を把握した上で、商品を提案できる。

寺田佳史社長

 飲食店にとっては、季節限定品や今まで知られていなかった特産品を調達できる機会や、生産者の顔が見える新たな仕入れチャネルを見つけるきっかけになる。寺田佳史社長は「四万十町には、四万十川の水と豊かな自然に育まれた四万十野菜や四万十ポークなど多くの名産品がある。これらの生産者から話を聞いたところ商品をPRする機会が少なく、大都市圏の飲食店との新規取引の機会が少ないという課題を知った。『クロスマート』登録店の90%は大都市圏の飲食店が占めているため、飲食店と卸売業者をつなぐだけでなく、更に多くの地方自治体と連携し、日本全国の生産者らが大都市圏の飲食店にも簡易にアプローチできるプラットフォームとなることで、地域の活性化を促したい」と話す。

  四万十町スマート定住対策協議会の井上義之会長は、「四万十町内で生産されたお米や野菜、肉といった魅力的な食材の販路拡大につながる事業として、大いに期待している」とコメントした。