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焼肉店の倒産が止まらない!! 24年度は倍増の55件と過去最高水準に【帝国データバンク調べ】

2025年4月7日 8:40 am

 帝国データバンク(TDB)が、2000年4月1日から25年3月31日までを集計期間とした「焼肉店」の倒産発生状況をまとめた最新調査状況によると、24年度(24年4月~25年3月)の負債1000万円以上の法的整理は、速報値で55件となり前年度の27件から倍増した。これまで最多だった19年度の28件も大きく上回り過去最多を更新した。

 ただし、同調査は個人営業の店舗など小規模事業者は除外しており、小規模事業者の閉店や廃業分を含めると「実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる」(TDB)としている。

 24年の焼肉店の経営環境は、コロナ下では換気がされているなどの業態特性もあって出店ラッシュが起こり競争が激しくなっていた。TDBは「輸入牛肉や野菜などの原材料費や人件費などの店舗運営コストが高騰するなかで、高騰分を値上げという形でメニュー価格に反映できたかが各社の明暗を分けた」と指摘する。

 損益動向からは純利益ベースの赤字は焼肉店全体の約2割にとどまり、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は3年ぶりに5割を下回ったことから、焼肉チェーンは大量仕入れなどによる低コスト運営を強みに割安な食べ放題メニューを充実したことで、リーズナブルに楽しみたいファミリーなどの層を取り込んでコスト増を増収でカバーしたことがわかる。

 一方、コロナ禍で異業種から参入した企業や小規模な店などは客離れを警戒して十分な値上げができず苦戦したことから「二極化が進んだ」結果、価格を巡る消耗戦に耐えられなかった中小焼肉店の淘汰が進んだとする。

 25年度の見通しに関しては、大手焼き肉チェーン各社が値上げを行うほか、SNSの活用などで顧客層を広げる動きや、ロードサイドだけでなくショッピングセンターに出店するなど収益確保へ前向きなケースもみられるが、TDBでは原材料価格の高止まりや、電気・ガス代や人件費などの負担増も加わって厳しい環境は続くとみて焼肉店の倒産は25年度も高水準での推移が続く可能性があるとの見解を示した。