レストランテック

レストランテック経営者が拓く飲食業界の明るい未来とは? 第2回 favy

2024年11月29日 3:00 pm

 これまで店長の勘や経験に頼っていたが、それだとバイアスがかかり、気持ちも動いてしまう。そうではなく、年齢や嗜好により分析できる仕組みを作りたかったと、髙梨さんはこう続ける。

 「消費者との接点を得るためにメディア(媒体)が必要だった。そして、その消費者の属性を詳しく知るためにサブスクリプションが必要だった。商業施設ではポイントサービスと連携することでより詳細な属性を得ることができる。いま当社の成長の中核がこうした商業施設・ビルでの導入だ。施設が契約して入店した飲食店に使ってもらうスキームで、一般的になってきたデジタルマーケティングのツールとして商業施設に選ばれている」

 「東京ミッドタウン八重洲のヤエスパブリックのように、モバイルだけでなく、使い方の指導やトラブル対応のためにスタッフを常駐させるなど伴走型のサービスも行っているため、ビル側から見れば、システム会社でもあり、丸投げできる相手でもあることが重宝がられているようだ」

 家具付きマンション、セットアップオフィスと同じような感覚でDX化された飲食店を今日から開業できるサービスが3つ目のシェア型フードホール事業「re:Dine(リダイン)」。イニシャルコストを抑えて出店できるため、現在では全国12カ所、60区画3000坪規模が稼働中だ。

 favyは「リアルな状態を深く知るためにあえて飲食店を経営している」。それもこれも、飲食店に自分のやりたいサービスや商売を知ってもらい、運に頼らずにヒット業態を生むための「真っ当な競争カリキュラムを作りたい」からだ。「小売業で言う『リテールメディア』を外食業界にも持ち込みたい」と、髙梨さんは語る。

 「リテールメディア」とは、小売・流通事業者が運営するさまざまなメディア(媒体)を指し、例えば「ECサイト」や「店舗アプリ」「店頭デジタルサイネージ」などがその一例。具体的には、小売企業が自社で保有する消費者の購買データなどを活用して広告を効果的に配信する仕組みだ。

 店が簡単に潰れない世界の構築のため、髙梨さんはこの「リテールメディア」を外食業界にも持ち込みたいと、こう続ける。

 「データに基づいて努力すればちゃんと勝ち残れる世界を掲げている。データに基づいて経営するようになると、飲食店の別のお金が回るようになる。例えば、モバイルオーダー画面に、その店の顧客属性にあった広告宣伝を入れるなど、その店舗に返せる仕組みを実現したい。2018年から、実際に自社で運営する店舗では年に3~4回、ハイボールとビールを100円にする企画を定期的に行っており、組数ベースで通常の約3倍のお客さんが来店する。売上も利益もほぼ1.7倍になる。分析体制が整ったので今年はもっと定期的に実施し、広告効果を測定している。こうしたことが必ず飲食店の役に立つと信じている」

 まさに、営業と直結した店舗活用による合理的な広告宣伝活動(営業外収益)となり、飲食店の新たな収益のカタチや在り方を構築できる可能性を含んでいる。その原資をどこに再投資するかは飲食店次第だが、日々の営業がデータに基づいた合理的な収入になるとすれば、飲食店経営の魅力も増す。

 favyに見えている世界は、広告効果測定の強みを活かした新たな飲食店経営のカタチだったのだ。