外食産業新聞社創業50周年記念特別コラボ企画
日本外食新聞×レストランテック協会/主要経営者インタビュー
安心して採用外注できる企業に
キャリアの点数化で最適配置を
人手不足が深刻化する飲食業界。せっかく採用した人材が定着せずに辞めていく状況があちこちで散見される。人に依存する業界だが、それだけ人が輝くチャンスのある業界でもある。
今回紹介するクックビズは、飲食専門の人材紹介業のフロンティア企業だ。彼らはこの人手不足が深刻化する飲食業界を一体、どうみているのだろうか。そして、どんな未来を展望しているのか。シリーズ第3回は、クックビズにフィーチャーする。
※2024年7月15日号「日本外食新聞」の記事を再掲します。記事中の数値などは掲載時のものです
──求職者や飲食企業に、仮に裏切られても裏切るな。されたことだけを切り取ると裏切られたと受け取ってしまう場合もあるだろうが、彼らには彼らの、そうしてしまった理由がある。
不義理をされたから不義理して良いわけではない。我々は業界のスタンダードになることを徹底的に進めていく。クックビズの目指す人材ビジネスのゴールは、「飲食店の外注人事部になる!!」ということだ──
クックビズは2007年に設立し、当時はまだ飲食店に特化している人材紹介会社はほぼなかった。最古参のフロンティア企業であり、実績や規模は業界ナンバーワンである。当時は縁故採用が一般的で、それと求人誌の二択だったという。
そんな中で、クックビズが進めてきたことは、徹底した情報の充実だ。上場企業として、より信用度を上げるために、日々進化している会社も珍しい。
変化の激しい飲食業界にあって、その中でも、日々猛烈に変化する店舗情報を常に集め続けて17年運営しているのが、同社の強みだ。電話やメールにより飲食企業の担当者とやり取りし、店舗情報データベースを毎日更新している。
同社には25万人の求職者データがあり、その企業にあった求職者のデータを提供する代わりに、店舗の最新情報を入手するという「等価交換」方式を地道に続けているのだ。
町の変化、町における飲食店の栄枯盛衰の凄さを見れば明らかだが、クックビズが日々更新している生きた情報は非常に価値が高い。藪ノ賢次代表取締役社長が言う。
「食べ手と働き手とでは重要な情報が違う。求職者は、残業が多くない方が良いと言うが、同時に店には加工品はあまり使っていないほうが良いなどと、利害関係が一致しないことを言ってくる。求職者に自分の求めている情報の中で、ちゃんと優先順位を付けて、どこにこだわるのかの折り合いをつけてあげること。納得して行くのと、納得せずに行くのでは大違いだからだ。防げるミスマッチを未然に防ぐことをとても重視している」
人材の「材」が「財」になっている企業があるが、それは経営の重要な資源として人を捉えている証だ。その走りが実は飲食業界だという。その割に「人に興味の無い飲食経営者が多い」と嘆く藪ノさんは、人材採用についての想いをこう語る。
「この仕事を始めてずっと考え続けていることは、人材はコアコンピタンス(他社に真似できない企業の中核となる能力)なのかそうでないのかということ。人は流れていくもの──つまり人はフローだと考えている経営者は少なくない。それはまさに人をノンコアコンピタンスだと考えている証だ」
「本当はコアだと思っていても、メニューや業態開発などやることが多いのでノンコア扱いにせざるを得ない企業も少なくないはず。もし、人材採用をコアと捉えている会社が一部なのであれば、人材採用の部分を安心してアウトソーシングして良いと思ってもらえる企業になればいい」
コアかノンコアかの結論は出た。クックビズが「コアを担う」ということに他ならない。それを具現化したのが22年にリリースした「採用統合パッケージ」だ。