年金制度改正法により10月1日から、これまで従業員101人以上の企業が対象だった短時間労働者(パート・アルバイト)の社会保険(健康保険・年金・介護保険)の加入義務が、従業員51人以上の企業に拡大される。その結果、時給が上がっても保険料分が差し引かれて手取り額が減ってしまう「年収106万円の壁」と、国民年金・国民健康保険に加入しなくてはならなくなる「年収130万円の壁」といった「年収の壁」により、就業調整する人達が増え人手不足がさらに深刻化する懸念がある。
そこで厚生労働省は、新たに従業員が社会保険に加入しても収入を減らさずに働ける環境づくりを支援する「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用を促している。
まず、「106万円の壁」への対策として、1人当たり3年間で最大50万円を支援する助成金制度を用意している。これは、時給の引き上げや労働時間延長で106万円を超えた場合に本人負担分の保険料相当額を上限に助成するもの。助成額は中小企業では全額となるが大企業の場合は4分の3になる。
「130万円の壁」に対しては、繁忙期に労働時間を延長して残業が発生し130万円を超えた場合、事業主の証明があれば引き続き被扶養者認定を継続できるというもの。
厚労省は、これらの施策で「年収の壁」による新たな人手不足の発生を和らげたいとしており、詳細については専用サイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html)で紹介。問い合わせについては「年収の壁突破・総合相談窓口」(0120-030-045)でも受け付けている。