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飲食店のデジタル導入率58%突破と2年連続で上昇!【HPグルメ外食総研調べ】

2024年6月6日 12:35 pm

 リクルートの外食市場に関する調査・研究機関であるホットペッパーグルメ外食総研が、全国の飲食店経営者1029人を対象に実施した「デジタルツールの導入への興味・関心と導入状況・導入後の効果に関するアンケート調査」によると、デジタルツール導入率は58.3%で2年連続で上昇した。

 15のデジタルツール(上記グラフ参照)のいずれかを導入しているかどうかを聞いたところ、導入率は58.3%となり、前回調査(57.7%)、前々回調査(55.6%) から2連続で上昇した。導入済みトップ3は「キャッシュレス決済」「自社ホームページの制作/ローカルビジネス登録サービスの活用」「POSレジ」だった。

 前回調査で3位だった「集客販促ツール」(22.1%)が4位に後退したものの、検討中の割合としては「集客販促ツール」(11.4%)がトップで、僅差で「経営管理システム」(11.3%)が続いた。いずれのデジタルツールも飲食店経営者の10%前後が導入を検討している状況だ。

 現在抱えている経営課題では、1位が「売上UP」(48.0%)、2位が「食材費の削減/最適化」(31.9%)、3位が「人手不足」(22.5%)となり、前回3位の「顧客満足度UP」(19.0%)は4位に後退した。

 「食材費の削減/最適化」と「人手不足」は2年連続で課題とする飲食店経営者の割合が上昇した一方、「売上UP」「顧客満足度UP」は前回と比べると低下しており、顧客獲得よりも店舗のオペレーションやコスト構造に関する課題の重要度が増してきている状況が浮き彫りとなった。他に、2年連続でスコアが増加している課題は、「労働時間の短縮」(15.6%)、「人件費の削減/最適化」(15.5%)で、これらもやはり「人手不足」と相関する項目であった。

 いずれかのデジタルツールを導入している対象者に、その効果の実感を聞いたところ、「何らかの効果あり」が80.8%(前回比1.6ポイント減)とわずかに低下した。引き続き高い水準とも言えるが、課題項目別では「経営数値管理の強化」(同4.1ポイント減)、「売上UP」(同3.5ポイント減)も共に低下。効果実感の高いツール(中分類)としては、「人事労務管理」(90.1%)、「売上・経費管理」(87.0%)、「店内オペレーション管理」(81.1%)で、こういった分野のデジタルツールで効果を実感しやすいことが分かる。

 リクルートが提供するPOSレジアプリ〈Airレジ〉の導入店舗を対象に、飲食店でのキャッシュレス決済比率を算出したところ、2017年4月時点以来で過去最高となる43.3%となった。キャッシュレス決済比率が高い都道府県の上位5位は、東京都、石川県、沖縄県、神奈川県、千葉県の順で、東京都のみが50%以上だった。

 人口が多いほど非接触対応は必要になり、支払い方法のニーズも多様化するため、キャッシュレス決済を導入する店舗も多いと予想されたが、実際の結果は違った。この点について同社は、「考えられる理由の1つに、各都道府県の導入施策による差が挙げられる。例えば、神奈川県では2018年の『キャッシュレス都市KANAGAWA宣言』の下、事業者マッチングや普及啓発などを進め、消費者の利便性と事業者の生産性向上を推進している。基本のDX施策としてキャッシュレス決済を導入しつつ、地域の公的支援などを生かした経営が、飲食店にとって主流になると思われる」と分析している。

 同調査は、全国47都道府県の20歳以上の飲食店経営者1029件(男性764件、女性265件)を対象に3月8~12日に実施された。