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常温の350ml缶から50秒で4℃に冷えたビールを提供できる業務用サーバー展開へ【サントリー】

2023年10月10日 10:03 am

 サントリーは10月5日、常温の350ml缶をセットして注ぐ業務用の新ビールサーバー「nomiigo(ノミーゴ)」のテスト展開を始めた。
 年内に首都圏など100店舗の飲食店を目標にテスト店舗を増やし、市場ニーズや設置店における動向などを検証する。約5年を目途に1万店の飲食店での導入を目指す。

 「nomiigo」の実際の使い方は、サーバー前面下部を手前に開けて常温か冷蔵した未開栓の350ml缶ビールを設置。

「nomiigo 」に未開栓の350ml缶を設置した状態

 そして機材上部のボタンを押して前面のコックからビールをジョッキの約7割まで注ぎ、次に「泡モード」のボタンを押してクリーミーな泡をのせる。注いだあとは「取り外し」ボタンを押し、前面から缶を外して完了となる。

ビールを注ぎ泡をのせる様子

 缶の設置、取り外しを含めて1杯約50秒で完了し、機材の中で上に引き上げられる形で開栓される缶は1回の抽出で使い切りとする。

 常温のビールが冷却されるのは機材の中に冷却水槽があり、その中にビールが通る配管があるためで、コックから注ぐ時の温度は約4℃になる機材として開発した。

 ビールを注ぐ機材先端のコックは、樽生ビールサーバーと同じものを使用。抽出後は配管にビールがほとんど残らない構造にしているため、ビールのロスを減らし、配管の洗浄は機材に設置するボトルの水を通すだけで済むなど使い勝手の良さも追求した。

 サントリーでは「nomiigo」について、1日のビール提供杯数が10杯未満の飲食店での利用を想定。樽生サーバーと同等のビールを提供したいが、品質保持の観点から開けてから3日以内の使用を推奨している樽生ビール(10L・15L・20L)を導入できない飲食店でも高品質のビール提供を可能にする機材として提案する。

 主な対象業態はファストフードやラーメン店、ファミリーレストランなど食事主体の飲食店。〈ザ・プレミアム・モルツ〉限定での使用を条件に、既存の樽生サーバーと同様に機材を貸す形での展開を進める。機材のサイズはW(幅)255mm×D(奥行)535mm×H(高さ)565mm。重さ31kgで100ボルト電源対応。

 「nomiigo」の開発の経緯については、同社ウェブ調査から、丼・ハンバーガーを提供するファストフード店やカフェなどの食事主体業態で「いろいろなお酒を飲んでみたいというお客様が増えている」ことや、「外で飲むのであればおいしいものを食べながらおいしいビールを飲みたいといった潜在的なニーズ」などがみてとれたことから開発を進めたという。

 サントリーのビールカンパニーマーケティング本部長の多田寅氏は「常温の缶をこの機材に入れてボタンを押すだけで、適度な冷たさ、よりクリーミーな泡をもったまるで樽詰めからできたような生ビールを提供できる」といい、同マーケティング本部イノベーション部の伊藤優樹氏は「nomiigo」によって「最高にうまいビールが飲めるシーンをもっと増やしたい」と強調する。

サントリービールカンパニーの多田寅マーケティング本部長(右)と同マーケティング本部イノベーション部の伊藤優樹氏