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6割の店が販売チャネルの多角化検討、店内飲食の価値変化は見解さまざま【シンクロ・フード】

2021年5月29日 8:42 am

 ​飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」や物件情報サイト「飲食店.COM」を運営するシンクロ・フード(東京都渋谷区、藤代真一社長)は、今後の販売チャネルとイートインの価値についてアンケート調査を実施した。

 コロナ禍で外食需要が低迷する中、全体売上における「イートイン(店内飲食)」のおおよその割合について聞いたところ、最も多かったのは「90%」との回答で33%。

 僅差で「100%(31.9%)」と続き、イートインが売上の9割以上を占めている飲食店は、およそ半数以上にのぼることがわかった。

 現在イートイン以外の販路として活用しているものがあるか尋ねると、約7割が「テイクアウト(69%)」と回答。

 次いで「デリバリー(業者委託)(31.2%)」、「イートイン以外のサービスは行っていない(16.6%)」と続いた。

 一方で、通信販売などが運用されているケースは1割未満だった。

 今後イートイン以外の販路を新規に、または継続して活用していく意向があるかについては、半数以上が「活用したい(57.1%)」と回答した。

 テイクアウトやデリバリーなどの販売チャネルは、コロナ禍を機に確立された新たな売上軸として、今後もより発展していくことが予想される。

 今後、外食業におけるイートインの価値はどのように変化していくと思うか、あわせて注力していきたいことがあるかを自由回答で聞いてみると、「需要は減る」、「変わらない」、「むしろ価値が上がる」と、見解はさまざまに分かれた。

<回答抜粋>
イートイン需要は減り、中食需要が伸びる
・恐らくコロナが終息しても巣籠もり需要は変わらないと思う。やはり、テイクアウトやデリバリー、通販の強化が必要と感じる(長野県/中華/1店舗)

各店のコンセプトが明確化し、それに合わせた営業スタイルになる
・腹を満たす業種と、時間を満たす業種に分かれていく(東京都/バー/1店舗)

より付加価値が必要になる
・だいぶ精査されると思います。料理やサービス内容、価格において、価値を見出せない飲食店は淘汰されるかと。
 来店された方に体験型のサービスを提供するほか、他業種との提携なども模索したいと思います(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

逆に魅力が再認識され、より価値が上がる
コロナ禍でイートインの価値に気づいたお客様も多く、以前よりも更に会話を楽しみながらの食事の価値は上がると思う。
 収束しない伝染病はこれまでもなかったので、その後を期待したい(長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

これまでと変わらない
・どんなにデリバリーやテイクアウトの類が発展しても、やはり人と人のつながりを飲食の場に求める価値観は永遠になくならないと思います。
 家庭とは違う非日常的な心地よい空間で、気の合う人とプロ料理人による出来たての美味しい料理を味わいながら語り合う。この価値はイートインの形態でなければ実現できないと思います(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)

 記者個人の考えとしては、飲食店の価値はなくならないし、コロナ禍による外出自粛によってかえって外食の魅力を再認識した人は多いと思っている。

 とはいえ、テレワークの普及やワクチン接種が完了するまでは、中食需要は今後も続いていくだろう。

 楽観視しすぎず、商品や接客をブラッシュアップしながら、イートイン以外の販売チャネルを確保しておくことで、収益の多角化を図っていくことが大切なのではないだろうか。