厳しい状況が続く外食業界だが、そんな中で食事に困っている人たちを支援しようと活動する都内の飲食店が、新たなプロジェクトを始めた。
六本木でカジュアルイタリアン「Noza Caza(ノザカザ)」を運営するSASA(東京・六本木)の笹裕輝社長が代表を務めるひとり親家庭のサポートチーム「hottokenine(ほっとけないん)」(https://hottokenine.jp/)は、緊急事態宣言発令に伴い、東京23区内でひとり親家庭だけでなく生活に困窮しているすべての人に弁当の無償配達を行う「緊急支援プロジェクト」を実施することを決めた。それに伴い、協力飲食店も募集している。
「hottokenine」は、コロナ禍で経済的・精神的に不安定になったひとり親家庭に弁当を無償配達する「INGプロジェクト」を前身に発足した。「INGプロジェクト」は、シングルマザー家庭で育った笹裕輝代表が自身の経験をもとに立ち上げ、これまでに約820家庭に3万8000個の弁当を配達。著名人を含む多くの支援者を得て活動を拡大してきた。
そんな中、2020年11月に「INGプロジェクト」を「hottokenine」としてリニューアル。弁当を配達するだけでなく、ひとり親が自身の力で困窮した状況から抜け出して自立できるようサポートする活動も行うようになった。
今回、2度目の緊急事態宣言が発令され、コロナの影響で自殺者が増加しているというデータもある中で、どのような支援のあり方がいいのかを考えた結果、「緊急支援プロジェクト」と題して、これまでの「ひとり親家庭」というくくりを撤廃し、生活が困窮する全ての人を対象に弁当の無償配達を行うこととした。
同プロジェクトは、生活困窮者の救済と自殺者数の増加を防ぐことを目的とし、明日食べるものに困っている人に、飲食店が作ったメッセージ入りの弁当を6日間、毎晩、無償で配達するもの。
対象エリアは東京23区で、期間は2月8日から3月6日の1カ月。月曜から土曜を1クールとして1カ月を4クールに分け、1クールごとに配達家庭を変更する。
現在、この活動に協力してくれる飲食店を20~30店舗募集している。各店舗で1日25食または50食を提供することを希望しており、飲食店は食材原価(1カ月協力の場合、想定30万円)、水道光熱費、調理スタッフの人件費を負担することになる。ただ、飲食店には「店に合わせて日数や提供する食数など可能な範囲で協力してほしいため、まずは問い合わせしてほしい」としている。
配達にかかる人件費(想定12万円)の支払いや配達スタッフの手配は「hottokenine」側で行うことを想定しており、弁当の製造のみ協力するという形でも大丈夫だという。
笹代表は「大変なのはひとり親家庭だけではない。多くの困っている方においしいお弁当を届ける必要性を飲食に関わっている人間のひとりとして強く感じました。飲食店の皆様も、非常に大変な状況かもしれません。もし少しでも余力のある飲食店のオーナー様がいらっしゃいましたら、私達と共に立ち上がって頂けませんでしょうか? 労働力と食材原価分の費用の提供で構いません。何よりもおいしいご飯は明日への活力になると信じています。非常に厳しい状況に立たされている業界ではありますが、まだまだ私達に出来ることがあるのではないかと日々考えていますと訴える。
支援の申し込みや問い合わせは、hottokenine公式HP(https://hottokenine.jp/)で受け付けている。