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「居酒屋を楽しく、便利に」するアプリを即席で開発【養老乃瀧】

2018年6月20日 11:06 am

 「養老乃瀧」「一軒め酒場」などを全国に展開する老舗の外食大手企業、養老乃瀧(東京・池袋、矢満田敏之社長)は2018年6月16日~17日の両日、ソフトバンクグループのSBイノベンチャーと共催する「第2回 養老乃瀧ハッカソン」を開催した。

 「養老乃滝ハッカソン」は矢満田社長の肝いりで昨年第1回を開催したユニークなイベントで、参加者はIoT(モノのインターネット)の力で、「居酒屋を楽しく、便利に」するアプリやサービスを会場内で即席に考案し、開発。製作した作品を発表して、いかに楽しく、便利かを競う。有望な作品については「試作品作りを支援し、養老乃瀧の店舗で実証実験をする可能性もある」(同社)という。ハッカソンとは、コンピュータ関連用語のハックhackと、スポーツのマラソンmarathonとを組み合わせた造語だ。

会場は養老乃瀧本社5階の研修センター

 今年5月9日からの第2回の募集に応じて集まった参加者(エンジニア、デザイナー、企画職など)約50名は、初日に自由にチームを結成し、2日目(17日)の夕方までにスマートフォン、PC向けアプリなどの作品をひとまず完成させて発表会に臨んだ。全16チームの作品の審査の結果、「最優秀賞」(賞金10万円)、「特別賞」(生ビール50杯進呈)、「養老賞」(養老牛丼進呈)、「Twilio賞」(Twilioグッズ進呈)を選んで表彰し、最後は居酒屋メニューとお酒での懇親会となった。

養老乃瀧の矢満田敏之社長

矢満田敏之社長

今年の「最優秀賞」は乾杯ラバーズ:チームの〈カンパイファイター〉(空の酒杯を置いて格闘ゲーム)、「特別賞」はギャザ飲み:チームの〈ドリーム・オブ・バクハイ〉(全国店舗でのバクハイの注文がリアルタイムで分かり節目の杯数で注文した利用客のバクハイ料金が無料に)、「養老賞」は美食VR:チームの〈美食VR〉(VR=バーチャルリアリティ機器で綺麗な風景を見ながら飲食できる)、「Twilio賞」は外見100%飲み会:チームの〈仮面ダイダー〉(箱をかぶって昔の若い姿などに変身)とTwilio使いたい:チームの〈差し入れTwilio〉(呑んでいる人の心拍数に応じて差し入れ)が受賞した。ちなみに、Twilioとは、ネットと電話・ショートメッセージサービス(SMS)を簡単につなげられるサービスのこと。

 審査員をつとめた矢満田社長は、審査の講評で〈ドリーム・オブ・バクハイ〉について「社内でも似たような企画を検討している」と明かした。 養老乃瀧では、この6月1日から、「一軒め酒場 新橋店」(259席)にAI機能付きクラウドカメラ(ウェブカメラ)「チャオカメラ」を導入し、利用客が成年かどうかの確認を支援する実証実験に取り組む。「当社でも増えている外国人スタッフによる年齢推定を支援する狙いもある」(同社)という。

 さらに、6月22日から7月22日まで、「養老乃瀧」「一軒め酒場」「だんまや水産」の全国451店舗で、人気ゲーム「モンスターストライク」とのスペシャルコラボキャンペーン第2弾を実施する。居酒屋版「モンストガチャ」を1回300円(税抜)で販売し、利用客には300円相当以上の限定コラボメニューや限定グッズが必ず当たる。17年11月に実施した第1弾のキャンペーンでは、対象店舗の売上が全体で前年を大きく上回る結果を残した。同社では、今後ともさまざまな「外食IT」を使って、居酒屋のプラスアルファの魅力作りや運営合理化に取り組んでいく考えだ。

「最優秀賞」の〈カンパイファイター〉

「特別賞」の〈ドリーム・オブ・バクハイ〉

「Twilio賞」の仮面ダイダー

「Twilio賞」の〈仮面ダイダー〉