クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」を提供するポスタスが、「POS+」のデータを基に6月から8月の飲食店における4業種・24ジャンル別の売上動向について調査したところ、回復傾向が最も高いジャンルは「カレー」だった。
同社は4月から計4回、コロナ禍での飲食店全体の売上推移を発表してきたが、飲食店といってもさまざまな業種・ジャンルの店舗が含まれていることから、データを以下の4業種・24ジャンルに分類して傾向を探った。
・「食事系」:カレー、そば・うどん、ラーメン、食堂・定食、レストラン
・「軽食」:カフェ・喫茶
・「専門料理」:焼肉、韓国料理、寿司、お好み焼き、鉄板料理、ステーキ・ハンバーグ、フランス料理、中華料理、バー、海鮮料理、アジア・エスニック、イタリア料理、日本料理、しゃぶしゃぶ、その他西洋料理、沖縄料理
・「居酒屋」:和風居酒屋、洋風居酒屋
その結果、6~8月平均の昨年対比では、「食事系」で〈カレー〉(77%)〈そば・うどん〉(75%)〈ラーメン〉(74%)などの客単価が1000円台前後のジャンルで回復傾向が強かった。「専門料理」では回復傾向が2極化し、〈焼肉〉(71%)〈寿司〉(68%)〈お好み焼き〉(67%)などが高く、〈しゃぶしゃぶ〉(48%)〈その他西洋料理〉(47%)〈沖縄料理〉(42%)などの回復が鈍かった。同社は、「〈カレー〉などは1人利用がメインで滞在時間が短かいため感染リスクが低減されることや、日常的によく利用されることが要因と考えられる。〈焼肉〉などは、利用客が各自で食べる料理であることと、家族で食事に行く場合に選ばれやすいジャンルであることに加えて、テイクアウトしやすい料理であることも回復に一役買っていると推察する。一方、〈しゃぶしゃぶ〉は複数人で同じ鍋をつつくイメージがあり、〈その他西洋料理〉は大皿から取り分けて食べるイメージがあることがマイナスになった」と分析する。
「居酒屋」については、営業時間自粛要請の影響が大きく、同社は「利用客に『安全・安心(感染リスクが低い)』『日常利用』『家族での食事』というキーワードを想起させることが、回復の早い飲食店の共通項であると言える」との見方を示した。
またエリアごとの月別と週別の傾向についても分析している。まず月別では、7月が6月に比べて約7ポイント上昇の63.9%だった。「GO TO トラベル」キャンペーンの開始週は昨年対比68%まで回復したものの、その後感染が拡大した影響で最終週には55%まで悪化。エリア別で見ると関東地方のみが全国平均を割る結果で昨年対比59%となり、全国平均よりも5%低かった。
8月は7月に比べて約3ポイント悪化の60.7%。九州・沖縄地方と中部地方の落ち込みが大きく、前月差はそれぞれ約15%減、約12%減となった。逆に、北海道地方と関東地方は感染者数の増加にも関わらず前月からは微増となり、エリアによって差が顕著に表れた。
週次での売上推移を見ると、8月3日に全国の1日あたり感染者数が過去最多の1983人を記録したことで、主要都市各地で独自の緊急事態宣言や飲食店への営業自粛要請が発令された影響により、8月3日週全体の昨年対比は56%となり、九州・沖縄地方は46%まで落ち込んだ。
8月10日週はお盆休みの効果が表れ、再びプラスに推移。全体の昨年対比は66%、関東地方は68%となり3月の自粛要請以降、最も良い回復状況となった。その他、近畿地方や中部地方といった主要都市でも売上が伸長した。
8月17日週はお盆明けの影響で一時的に売上が下降したが、全体で見るとその後は緩やかに回復。8月31日週に九州・沖縄地方と四国地方の売上推移が下がっているのは、台風10号の影響を受けたものと推測している。