予約管理役立つシステム

予約のシステム化で先行する旅行業界のノウハウ取り入れた〈ebica(エビカ)予約台帳 〉【エビソル】

2018年2月11日 6:42 pm

外食ITの要の位置で 周辺サービスとの連携を追求し 大手外食チェーン店舗にも着々と浸透。

「予約台帳」のサービスは、外食ITのいわば主戦場となっている。従来は一般的だった紙の台帳からウェブ上の「予約台帳」への転換によって、聞き取りや転記のミス減少、予約取り逃しの削減などたいへん分かりやすい現場の効率アップが実現する。また、「予約台帳」によって日々に蓄積された顧客データベースは、クーポン券発行などマーケティング施策の基本的な判断材料となり、リピーター獲得にも結びつく。すぐれた「予約台帳」を有効活用すれば、店舗運営の効率アップと売上アップが同時に実現するのだ。2012年6月からサービスを開始した〈ebica(エビカ)予約台帳〉の導入店舗数は現在、約1万店舗(※1)を数える。最近では、LINE利用者向けの集客アプリ〈LINE@〉と真っ先に連携したり、大手の外食企業が利用するPOSレジメーカーの東芝テックと連携するなどの動きでも注目を集める。〈ebica予約台帳〉のサービス提供企業であるエビソル(東京・恵比寿、田中宏彰社長)を訪ね、サービスの特徴と強み、「予約台帳」を基軸にしたビジネス戦略について聞いた。

※1=17年11月30日時点。ただしOEM提供先での導入店舗を含む

■当初から目指したのは「即予約」環境の実現

東京・恵比寿駅から歩いてすぐのビル内に本社を置くエビソルの社名の由来は、商売繁盛の神「恵比寿様」だ。エビソルでは、飲食店向けのITインフラを提供する目的として「おもてなしと商売繁盛」を掲げる。便利なITサービスの活用を通じて「飲食店には商売繁盛、消費者には新しい体験を」というコンセプトの下、エビソルは2011年10月20日(えびす講の日)に創業された。 「商売繁盛」の秘訣の1つは、予約をいかに増やすかだ。予約客の席を間違いなく確保し、提供することで、予約客は気持ちよくその店を利用でき、その好印象が再来店につながる。ところが、11年~12年の当時、飲食店の予約といえば電話によるものが9割がたを占めていて、聞き間違い、書き間違いによるミスが多かった。 多くの飲食店では、予約の電話を受けたスタッフが、その内容を紙にメモし、そのメモの内容を後から紙の予約台帳に書き写すといった形で、予約を管理していた。〈食べログ〉などのグルメサイトが、インターネットによる予約機能の提供を始めてはいたが、ほとんどの場合、使われていたのは「リクエスト予約」という仕組みである。予約はインターネット経由でいったんは受け付けるものの、その情報は通常、メールで飲食店に伝えられる。メールを受けた飲食店側では、予約席を確保できるかどうかを現場で確認した上で、予約者に返信の電話(もしくはメール)を入れる。これで初めて、予約が確定するのだ。 また、予約を受けた飲食店では、予約内容を従来から使っている紙の台帳に書き写し、そのコピーをホール、厨房にそれぞれ配って、食材の用意をしてもらったり、予約席の確認をしてもらったりしていた。これでは、一部にインターネットを使ったところで、書き写しや聞き違いなどのミスは減らないし、現場の手作業の労力も軽減できない。また、予約するほうでも、飲食店からの電話やメールが来るまで予約が確定しないようでは、電話での予約に比べて便利とは言えなかった。
〈ebica予約台帳〉の管理画面

〈ebica予約台帳〉の管理画面

一方、エビソルが創業当初から目指したのは「即予約」の環境である。予約客が、グルメサイト上で、あるいは飲食店のホームページ上で実行した予約は即時、確定する。予約内容は自動的に「予約台帳」に記載されるし、飲食店の空席は予約分が自動的に即時、グルメサイトのデータベースから消去される。現場では「予約台帳」を随時参照して、席のセッティングをすればいい。これが「即予約」だ。飲食店側、予約者側双方に大きなメリットがあるが、「即予約」の実現のためには大きな壁があった。「予約台帳」とグルメサイトの連携である。

■人材、旅行業界での経験からシステム連携へ

11年~12年頃までには、ある程度の規模の飲食店では、個店であっても、複数のグルメサイトと契約しているのが普通の形となっていた。各グルメサイトからのインターネット予約を受け付ける際、飲食店では、安全のためにかなり控えめの空席在庫を、各グルメサイトに登録していた。というのも、インターネットで予約を受け付けるのはいいが、空席在庫を管理する作業は、店長などが人力で行っていたからだ。 予約を確定する際には、各グルメサイトの管理画面を立ち上げて、空席在庫を予約受付分だけ削除しなければならなかった。そのため、店長などの管理者が店舗を離れ、PCを立ち上げられない営業時間外に、予約を確定することはできなかった。空席以上の予約を受け付けてしまったり(オーバーブッキング)、予約が重複してしまったり(ダブルブッキング)といった致命的なミスを避けるためには、インターネット予約向けに比較的少数の空席在庫を、あちらに10席、こちらに15席というように、グルメサイトごとに割り振るしかなかったのだ。 12年6月に〈ebica予約台帳〉をリリースしたエビソルでは、15年4月に「媒体一元管理機能」を開発して、〈ebica予約台帳〉に組みこんだ。そして、創業時から目標にしていたグルメサイトとの公式連携に本格的に取り組んだ。上記のような人力による予約作業を自動化して、「即予約」の環境を広く実現するためだ。 具体的には、各グルメサイトからの予約をリアルタイムで〈ebica予約台帳〉に取り込み、同時に、各グルメサイトの空席在庫を自動的に削除する仕組みを作る必要がある。そのためには、数多くの主要なグルメサイトと契約し、できれば共通のAPI(システム連携のための仕様)でシステム連携しなければならない。こうした「グルメサイトの一元管理」を目指して、エビソルがいち早く戦略的に取り組むことができたのは、飲食業界より5年から10年ほど先行して、「予約」のシステム化が進んだ旅行業や人材募集の業界での経験があったからだ。創業社長の田中宏彰氏は、人材系の業界の出身。旅行業界から転じて、現在はエビソルの執行役員をつとめる高萩久美子氏は、こう明かす。 高萩「旅行業界では、まず最初に『宿泊台帳業者』が立ち上がった。その業者が、多くの複雑なチャンネルから入って来る予約のリクエストをとりまとめて、旅行会社が催行するツアーやホテル・旅館の空き室などとマッチングし、その結果をITの『宿泊台帳』で管理できるようにした。その際に、『宿泊台帳』が単体だと、ほかのシステムに転記したりする手間がかかる。そこで、旅行会社の予約メディアや旅館・ホテルのシステムと徐々に連携していった。その結果、だいたい10年くらいかけて、すべてのメディアやシステムが、『宿泊台帳業者』が提供する数種類の標準的なAPIを使って、連携できるようになった」
エビソルの高萩久美子氏

高萩久美子氏

こうした見通しで取り組んだ結果、5年後の現在、〈ebica予約台帳〉は〈Yahoo!飲食店〉〈ヒトサラ〉〈OZmall〉〈楽天ダイニング〉〈LINE@〉とは共同開発のAPIを使う形で公式連携。また、非公式ながら、〈ebica予約台帳〉の機能によって、実質的に連携可能となっているグルメサイトは〈食べログ〉〈ぐるなび〉〈ホットペッパーグルメ〉〈一休〉〈Retty〉などがある。これだけ多くの主要なグルメサイトと連携可能なのは、現状では〈ebica予約台帳〉だけだという。

■「串カツ田中」全店にも導入し予約数を伸ばす

17年3月には、串カツ専門店「串カツ田中」が全店に〈ebica予約台帳〉を導入した。その最大の狙いは「グルメサイトの一元管理」。その狙いについて、「串カツ田中」は自社のニュースリリースで、次のように懇切に説明している。 飲食店特有の悩みの一つに「ネット予約の入口で一元管理がしにくい」があります。複数の飲食媒体に掲載していることで露出は高まりますが、その分管理も媒体毎に集計・台帳への転記が必要です。しかも媒体毎に空席状況は異なるため、取りこぼしが出てきてしまうのが現状です。串カツ田中ではこの度、株式会社エビソル(代表取締役:田中 宏彰 本社:東京都渋谷区)が提供する『ebica(エビカ)予約台帳』を全店で導入することで空席状況の自動更新が可能となり、予約獲得数を最大化できるようになりました。台帳への転記の必要がないので、店舗スタッフの負担は大幅に軽減できます。お客様は複数の媒体を行き来して空席確認をすることなく、即時予約が可能となります。 客席の回転が比較的速く、客単価も低めの串カツ店で、予約をリアルタイムで管理することに顕著なメリットはあるのだろうか。エビソルのマーケット開発部(飲食店営業担当)の曽根直美氏は〈ebica予約台帳〉導入後の効果について、こう説明する。
営業担当の曽根直美氏

曽根直美氏

曽根「〈ebica予約台帳〉を導入して、『グルメサイトの一元管理』を実現すれば、従来のように手加減せずに、各グルメサイトに最大限の在庫数(空席数)を登録できる。予約が入れば、手作業の必要なく、自動的に、リアルタイムでグルメサイトに反映されるからだ。店舗では、その時点での在庫(空席)をフルに活用して、集客できる。『串カツ田中』では、POSシステムと〈ebica予約台帳〉も連携しているので、スタッフがハンディターミナルから会計の手続きをするだけで、その結果が自動的にグルメサイトに反映され、空席数が増える。お客様は、例えばLINEで行きつけの『串カツ田中』の空席の確認ができるし、もし満席でも、(仕事などをしながら)空席ができるのを待ち、空席ができ次第、予約を入れることもできる。お店の店長(責任者)からは、『今日は雨なので、ご来店いただければ飲み物を1杯、無料サービスします』といったメール(トーク)も届く。こういう形で運用した結果、来店客に占める予約数は明らかに伸びた。『串カツ田中』のように客単価がさほど高くない店舗でも、即予約のニーズが高いことが分かった」

■東芝テックのユーザー店舗にも「リアルタイム空席管理」を提供

エビソルでは、創業時から業界全体のシステム化を視野に置いていたため、グルメサイトばかりではなく、CRM(顧客情報管理)サービスやPOS(販売時点情報管理)システムなど周辺サービスとの連携にも力を入れてきた。「飲食業のバリューチェーンはメディアによる集客から決済、会計管理、在庫管理まで多くの工程があるが、各工程が『予約台帳』と連携することでメリットが得られる」(前出のエビソル執行役員・高萩氏)という考え方からだ。 初めて、クラウド型のモバイルPOS「POS+(ポスタス)」と連携を開始したのは16年2月。この頃から、従来型のPOSシステムメーカーで、外食業界向けシステムのリーディング企業である東芝テックとは「連携しないのか?」という声が、多くの外食企業から寄せられるようになった。前出の曽根氏も、現場で要望を聞いてきた。 曽根「東芝テック様のPOSシステムは長い年月の運用実績がある。何かあったらすぐサービスマンが来てくれるという安心感もあって、セキュリティやコンプライアンスを気にする大手の外食企業の間では、根強い支持を集めている。ただ、(東芝テックのような)がっちりしたシステムと、〈ebica予約台帳〉のようなクラウド系のサービスがうまく連携すれば、もっと使いやすく、便利になるのではという期待の声は、ずっといただいていた」 こうした要望にこたえる形で、エビソルが東芝テックとの業務提携を発表したのは17年3月。同年10月には、〈ebica予約台帳〉と東芝テックのPOSシステム〈FScompass〉とのシステム連携の提供を開始した。このシステム連携によって実現できるメイン機能の1つは「リアルタイム空席管理」だ。 曽根「ウォークインといって、予約なしで来店されるお客様の着席管理は従来システムでは自動化が難しかった。今回の東芝テック様との連携では、スタッフが(東芝テックの)専用のハンディ端末でファーストオーダーを取るだけで、着席情報が〈ebica予約台帳〉に反映され、連携しているグルメサイトの空席情報を着席分だけ削除できる。また、(東芝テックの)POS端末で通常通り会計するだけで、その分の席が自動的に空席に切り替わる」 システム連携を導入した外食店舗では、東芝テックからセットで購入した(もしくはリース提供を受けている)専用POS端末、専用ハンディ端末をリプレースすることなく、クラウド型サービスの大きな強みである「リアルタイム空席管理」が実現できる。連携システムの販売は東芝テックが実施するが、価格はかなりリーズナブルなものになる見通しだ。 東芝テックとの提携で、エビソル側では東芝テックのPOSシステムを導入している外食企業に対して、〈ebica予約台帳〉を拡販できるメリットが大きい。また、「リアルタイム空席管理」と同時に実現するシステム連携による2つ目のメイン機能である「喫食情報・会計金額の連携」によって、顧客マーケティングにおける〈ebica予約台帳〉の存在感は一層、高まった。
〈ebica予約台帳〉の導入コスト(概要)

〈ebica予約台帳〉の導入コスト(概要)

エビソルは、12年11月にUSENの「ファンブック」に〈ebica予約台帳〉をOEM提供したのを皮切りに、14年4月には飲食大手チェーンのCRM支援のため米国発の大手CRMサービス「Salesforce.com」との連携機能も個別開発。最近では、スマートフォンによるスマートCRMを提供するビートレンドとも関係も深めている。業界全体のシステム連携によって「飲食業の顧客マーケティングのあり方を変革したい」という目標に、さらに一歩、近づいたと言えるだろう。   写真・図版協力:エビソル 【問い合わせ】 エビソル 広報担当 〒150-013 東京都渋谷区恵比寿4-5-27 パティオクアトロ3F 電話 03-4405-4041 FAX 050-3156-3971 メール:info@ebisol.co.jp ■捕捉資料■ 〈ebica予約台帳〉の導入実績のある大手の外食企業(店舗数等はエビカ調べ)は以下の通り。 〈ebica予約台帳〉を中心としたバリューチェーン