観光立国を推進する政策により、都内では外国人観光客を見ない日がないぐらいに増えた。訪日観光客の集客を行う飲食店も増える中、どんな施策が効果的で、どのような課題があるのだろうか。
日本政策金融公庫(以下、日本公庫)が、2024年6月中旬に生活衛生関係の営業をしている3158企業(うち飲食業1461企業)に実施した調査によると、「外国人観光客の受け入れに効果のあった取り組み」(複数回答)では、「キャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、二次元コード決済等)の導入」が50.3%と最も多く、次いで「メニューや施設内の案内等の工夫(多言語表記やピクトグラムの活用等)」が26.5%、「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備」19.4%と続いた。
また「外国人観光客を受け入れる際の課題」では、「店舗内の案内表示、メニュー表等の多言語対応」39.8%、「多言語に対応ができる従業員の確保」25.4%、「キャッシュレス決済への対応」15.6%の順だった。
「外国人観光客の受け入れに慎重な理由」としては、最多が「多言語に対応ができる従業員が不足している」が45.5%で、「言語、文化の違いから発生するトラブルを可能な限り回避したい」38.9%、「HPやメニュー表等の多言語対応を行うノウハウ、余裕がない」23.3%と続いた。
飲食は特に宗教や習慣の違いから深刻なトラブルになりやすいため、慎重にならざるを得ない部分もあるだろう。
■初めての外国人客でも対応できるガイドブック
日本公庫は、インバウンド対応を支援するために、業種別の冊子「外国人客おもてなしガイドブック」と「指差しコミュニケーションツール」を作成しており、日本公庫の全国の支店で配布しているほか、日本公庫のホームページにも掲載している。
「外国人客おもてなしガイドブック」は、インバウンド対応に初めて取り組む際に、押さえておくべきポイントをまとめた手引書。外国人客を受け入れる際の心構えと準備すべきことや、外国人客を接客する際のポイント(トラブル対応の方法など)、外国人客の満足度が上がる売り方の工夫などを記載している。
「外国人客おもてなしガイドブック」(PDF)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/inbound_guide.pdf
「指差しコミュニケーションツール」は、外国語が話せなくても、外国人客とスムーズなコミュニケーションが可能となるツール。接客を行う際に必要となる基本的な会話等を、飲食業の接客フローに沿って日本語・英語・中国語(繁体字、簡体字)・韓国語の5か国語で表示している。
今までは外国人客の来店がなくても、ガイドブックをあらかじめ読んでおいてツールを準備しておけば、いざ来店した際にも慌てず対応できそうだ。
「指差しコミュニケーションツール」(PDF)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/inbound_pointtool.pdf
そのほか「はじめてのデジタル化ガイドブック」や「飲食店経営力磨き上げガイド」といった冊子も無料でダウンロードできるので、店舗経営の課題を感じた際に一読するのも手だ。
出版物
https://www.jfc.go.jp/n/findings/kokumin_publications.html
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