欧米の飲食店では当たり前にあるチップだが、日本ではまだなじみが薄い。一方で、好きなユーチューバーやコンセンプトカフェ店員などへの「投げ銭」の抵抗感は案外少ない。
モバイルオーダーシステム〈ダイニー〉を提供するdinii(ダイニー、東京・渋谷、山田真央社長)が運営する、〈ダイニー〉のチップ機能「推しエール」で興味深い発表があった。
「推しエール」とは、〈ダイニー〉に実装しているスタッフへのチップ(投げ銭)機能。モバイルオーダーの注文画面に「推しエール」という項目があるため、特別なアプリダウンロードや会員登録は不要だ。
「推しエール」の画面からスタッフのプロフィール一覧から気に入ったスタッフを選び、投げ銭感覚でアイテムを贈ることができる。アイテムは0円から自由に店側で設定でき、推しエールの金額は会計に加算される仕組みだ。
「推しエール」が贈られると店内のプリンタから印刷されるので、スタッフが即座に把握でき、直接お客さんにお礼を伝えることができるのも特徴。
「推しエール」で受け取った全額は、全額該当スタッフに渡す場合や、一部を社内の懇親会費に充てたり他スタッフに分配したりなど、店舗によって運用方法は異なる。
この機能は、モバイルオーダーで現場の負荷を下げつつ、飲食店スタッフの物心両面の幸せを創出し、離職者を減らしつつ求職者への訴求にも活用できるとして同社が開発した仕組み。
2023年10月の「推しエール」を受け取った金額ランキング1位は、 焼肉店「タンとハラミ。」などを展開するファイブディアライフ(大阪・桜ノ宮、小堀琢矢社長)が運営する「大衆肉酒場 ブラック」アルバイトスタッフのりおんさん。1カ月で92回、6万4900円の推しエールを受け取ったという。
ダイニーでは「推しエール」に参加している店舗のデータを管理しており、今回初めて金額ランキング1位を公表したという。「スタッフのやる気アップにつながるようであれば、今後も公表を続けたい」(同社)と説明する。