「焼肉黒田」(東京・渋谷)や「沖縄創作 琉球 奏」(沖縄・県庁前)などを運営する黒石幸治さんは考えた。
「飲食店としては “今すぐ” 空席を埋めたいって思うシーン多いですよね 今すぐ空席が埋まるサービスつくろ」(黒石さんのツイッターアカウントより一部引用)──
そんな黒石さんが設立したモグカツ(東京・神泉、黒石幸治社長)は11月から、グルメ特化型のマッチングプラットフォーム「モグカツ」(https://restaurant.mogukatsu.com/)のサービス提供を開始する。
「モグカツ」は、飲食店側からグルメインフルエンサーを「レセプション」という形で招待し、レセプションで定めた料理やサービスを無料で体験してもらう。
グルメインフルエンサーはその体験をSNSにアップし、それを見たフォロワーがその店に行く──という仕組みだ。
これだけ読むと「よくあるインフルエンサーサービスと同じじゃないの?」と思いそうだが、飲食店経営者ならではの設計がなされている。
一般的なインフルエンサーサービスでは、初期導入費用や月額費用などが数万円単位で発生するものが多いが、「モグカツ」では、月額費や初期導入費がすべて無料のFREEプランから試せる。
現時点ではすべて無料の「FREEプラン」と月額4400円の「BASICプラン」があり、それぞれで使える機能が異なる。黒石さんは、「ゆくゆくはさらに上位のプランも検討中だ」という。
30日間のサブスクリプション型なので、「10月15日から11月14日まではBASICプランだったけれど、11月15日からはFREEプランにしよう」といったフレキシブルなプラン変更が可能だ。支払いはクレジットのみ。
また既存のグルメPRサイトでは、編集作業がPCベースのものがほとんど。お店の営業をしながらPCを開いて作業して……というのは大変だ。
一方、「モグカツ」はスマホだけで登録からマッチングまで完結できるので、お店のアイドルタイムにさくっと作業ができる。
レセプションの範囲はお店で設定できるので、たとえばレセプション以外の飲食は有料にできる。「全部無料にしたのに、SNSにアップしてくれなかった……」というトラブルが最小限に防げる。
さらに、目的に合わせて「募集マッチング」「オファーマッチング」「リアルタイムマッチング」と3つのマッチング機能を用意した。
「募集マッチング」は、登録しているグルメインフルエンサーに対してレセプションを設定し、応募者を広く募集する機能。来店希望日時や条件を擦り合わせた上で、マッチングする。
「オファーマッチング」(BASICプランのみ)は、レセプションを設定し、特定のグルメインフルエンサーに「直接オファーする」。こちらも来店希望日時や条件を擦り合わせた上でマッチングとなる。
「リアルタイムマッチング」はレセプションを設定し、グルメインフルエンサーに対し、「いま来店できる人を招待する」機能。グルメインフルエンサーのスキマ時間と、お店の空席をマッチングする仕組みだ。
グルメインフルエンサーは誰でも無料で登録できるが、グルメ系に特化したユーザーに限定される。なお、フォロワー数の最低加減といった条件は特にない。
黒石さんが独自に調べたデータでは、グルメ以外の写真もアップするインフルエンサーアカウントに対し、料理だけを黙々とアップするグルメアカウントの投稿へのいいね数は数倍になるという。
つまり、グルメに特化したインフルエンサーのエンゲージメント率(投稿に反応したユーザーの割合)はずっと高いのだ。
そのため、フォロワー数が数十万の一般インフルエンサーより、フォロワー数が数千でもグルメに限定したインフルエンサーの方が認知拡大や来店促進につながりやすいと判断したという。
なお、お店側はマッチングをする際に応募してきたグルメインフルエンサーの選定ができ、レセプションを作る際に「フォロワー数○万人以上の方限定」といった設定をすることも可能だ。