中小や個店の飲食店でも、卸業者と協力して仕入れ商品を販売する取り組みが始まった。両者の間を取り持ちシステムを作ったのが、主に中小企業や個店と卸業者の間をつなぐ受発注システム「TANOMU(タノム)」を展開するタノム(東京・千駄ヶ谷、川野秀哉社長)だ。
同社は青果卸の司企業(東京・平和島、池田将義社長)とイタリアン・フレンチ食材のミナト商会(埼玉・蕨、海老澤政志社長)とともに発起人となり、東京都内の飲食店が業務用食材とテイクアウト料理を消費者に販売する「ピックマルシェ」を始めた。
「ピックマルシェ」は専用サイト(https://marche.tano.mu/)で、新鮮な市場野菜10点と輸入食材3点に各店舗オリジナルのテイクアウト料理と野菜ソースが入った2~3人前の「おすすめボックス」セット(税別6000円)を販売。消費者は同サイトで注文・決済し、決まった日時にそのセットを提供するレストランに行き、店頭で受け取る仕組みだ。卸業者から仕入れた商品をそのまま転売することに関しては、東京都の条例で認められており、保健所でも確認を取っているという。売上の数%をタノムがシステム利用料として徴収し、残りを飲食店と卸で分け合う。
4月26日から受注を開始しており、5月2日から毎週土曜日(締め切りは2日前の21時)13~17時に店頭での受け渡しを実施する。これにより、飲食店はテイクアウト販売による収入確保とともに将来の新規顧客獲得も期待できる。卸業者は消費者向けの販路ができることで、日々仕入れる商品の廃棄を減らすとともに、負担の大きい個人向け配送をせずに消費者にアプローチできる利点がある。消費者にとっても、混雑したスーパーに行かずに済み、事前注文・決済なので外出時間を減らしつつ、新鮮な野菜を通常価格よりも割安に買える。
現在、参加が決まっている店舗は、奥沢の「Chez Shimizu」、八丁堀の「stesso e Magari CHIC」、恵比寿の「マジカメンテ」、池ノ上の「ペペロッソ」、神保町の「ALTER EGO」(5/9から参加)の5店舗で、今後追加する予定だ。