帝国データバンク(TDB)は10月2日、焼肉店の倒産動向調査の最新2024年1~9月版を発表し、24年の焼肉店の経営事業者における倒産(負債1000万円以上の法的整理)は9月までの時点で34件に上ったことがわかった。
1~9月における倒産件数としては前年の同期間(16件)と比べても2倍以上となり過去最多。年間でみた場合でも前年の22件を9月までの時点で上回り、過去最多だった19年の26件も上回っており、3カ月間を残して過去最多を更新した。
24年は焼肉店にとって、使用食材の仕入れコストが軒並み上昇するなかで、メニューの値上げがしにくい難しい事業環境にある。円安などによって、特に米国産などの輸入牛は肩やバラなど使用量の多い部位も含めて高騰。肉だけでなく、キャベツなど付け合わせなどで提供する野菜類の値上がりも顕著で、店舗の採算性に響く状況が続いている。
その一方で物価高により節約志向の高まりも意識され、店側は客離れを警戒して適正な価格転嫁を行うことが難しくなっていることも経営を圧迫している。大量仕入れなどでコストをある程度抑えて運営できる大手と、コスト競争に耐えきれない中小零細にとって苦しさに差もついてきており、TDBでは今回、集計対象外の負債1000万円未満の個人店など小規模事業者の廃業を含めると「実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる」としている。
輸入牛肉など原材料価格の高止まりや、電気・ガス代や人件費など運営コストの負担が大きい状況が続くなか、TDBでは24年の焼肉店の倒産は50件を超える可能性があるとした。